人に優しくするというのは人間関係の中でとても大事なことです。周りといい関係を作っていけば困ったことが起きても助け合えて、自分の心にある不安を解消できるからです。
ですが、人に優しくしなきゃという気持ちが強すぎると、他人を優先しすぎて自分に優しくすることができず、それが周りからも優しく扱われなくなる原因になってしまうことがあります。だから適度に優しいくらいがちょうどいいんです。
たとえば、あなたが会社で同僚から「悪いけどこの仕事手伝ってくれない? 明日までにやって」と言われたとします。
ですが、実は自分が抱えている仕事も忙しくて余裕がない、でも優しすぎる人は仕事を引き受けて、自分の仕事は残業して片付けてしまったりします。
いつもこうしていると、周りからは「しめしめ、この人は多少無理なことを言っても引き受けてくれるんだな」と思われ、なめられることになりやすいです。
なめられてしまうと、残業してまで周りの仕事を引き受けているのに、あなたが困っているときには周りからは全然手伝ってもらえないという悲しいことになってしまいます。
だから、他人に優しくするのは自分に余裕があるときだけで十分です。
「とはいえ、自分を犠牲にしてでも相手に優しくしないと関係がギクシャクするんじゃないか?」って心配になる人もいるんじゃないでしょうか。でもそんなことはなく、適度に優しいほうが相手との関係もよくなるんです。
「返報性の原理」といって、人は他人から親切にされると自分もお返しをしようという心理が働きます。でも、過度に自分を犠牲にし続けていると、返報性の原理が効かずに「この人はお返しをしなくてもいい人だ」となめられてしまいます。
先ほどの仕事の例であれば、「今は手が離せないので、この仕事が片付いたらお手伝いします」と断ればいいんです。そうすると、相手は「この人にお願いをするときは忙しいかどうかを考慮しなきゃいけないな」と思うようになります。
そしてあなたに手伝ってもらうことは「忙しい時間を割いてもらっている」という価値があるものだと認識されます。
自分を安売りしすぎず相手に自分の価値を感じてもらえれば、相手から感謝されてなめられなくなるというわけです。そうなれば、今度はあなたが困ったときにも助けてもらうことができるでしょう。
「他人とよい関係を作るには、自分のことは後回しにしなきゃ」と思っている人も多いです。もちろん、自分のことしか考えずわがままばかり言っていたら社会は成り立ちません。
ですが、他人を優先しすぎると自分の心を疲弊させてしまうことにもなりやすいんです。だから、苦しい思いをしているくらいならもっと自分優先になっていいんです。