「すぐ怒る人」に教えたい怒りが起きるプロセス

「怒り」の下に隠されたさまざまな感情との付き合い方とは(まんが:Jam)
「あの人が絶対間違っている」「腹が立って、相手の意見に従えない」。イヤな感情に振り回されることは、誰でもあるもの。しかし、人生がうまくいくか、いかないかは「感情次第」といっても、過言ではありません。
人生をうまく進めていく人の共通点は、こうした自分の感情と現実との折り合いをつけるのが、うまいこと。本気で「自分の目標を叶えたい」「いい人生を送りたい」と考えたときに、自分のネガティブな感情を整理していくことは、どうしても不可欠なのです。
どんな仕事のスキルや成功哲学を学ぶより、自分の感情との付き合い方は、人生において重要なスキルといっていいでしょう。では、どうすれば感情の整理ができるのか? 『まんがでわかる 感情の整理ができる人は、うまくいく』を書いた作家の有川真由美さんと漫画家のJamさんが解説します。

誰もが「自分が正しい」と思っている

(まんが:Jam)

では、どうして怒りが起きるのか、ここから考えてみましょう。多くの人は、気づいていないかもしれませんが、誰もが心の奥底で「自分が正しい」と思っています。

「いや、私はそんなことない」という人も、時には怒ることがあるでしょう? 「自分が正しい。相手は間違っている」と思うから、怒るのです。「相手が正しい。自分は間違っている」と思えば、怒らないはずです。いつも私たちは自分の正しいと思い込んでいる基準で、物事を見ていて、「それは受け入れられない!」と心が拒否したとき、怒りになります。

しかし、この自分の基準は、“思い込み”にすぎないのです。海外を旅し始めたころ、タクシーやレストランで、私が日本人だとわかると、よく料金を吹っかけられたものです。

ある国でタクシーに乗ったとき、5分で着くはずのホテルなのに、15分ほどぐるぐる回っていたことがありました。途中で「そんなに時間がかかるはずないでしょう!」と言っても、相手は強気で「これが正しい道順だ」と言い張ります。しかも予想の3倍も高い料金を払わされることに。ホテルのフロントに事情を説明すると、「それはだまされたね」と言ってガハハと高笑い……。 

ほかにも何度も、料金を吹っかけられることがあり、「この国の人は人をだまして、何とも思わないのかしら」と、しばらくイライラしどおしでした。

現実を受け入れたら対策を立てられる

しかし、そんなことを繰り返していると、「ここでは外国人からお金を高くとるのが常識。だまされるほうも悪い」ということがわかってきます。相手も大切な家族の生活がかかっているのでしょう。といっても、こちらも相手の要求に従ってばかりもいられません。事情がのみ込めたら、あとはお互いの知恵比べで勝負です。

現実に起こっていることのほうに、真実はあります。現実を「そういうことか」と受け入れる覚悟ができたら、それほど腹を立てずに対策を立てて、進んでいけます。

怒りは、自分の基準で勝手に作り出している感情であり、自分自身の問題です。これは極端な例かもしれませんが、日常生活や仕事で、「自分は正しい。相手が悪い」と怒っていても、相手は「自分が悪い」とまったく思っていない場合が多々あります。

「現実のなかに真実はある」、そう思って相手の立場からも現実を見ようとする姿勢が、やわらかい心を作り、簡単にうろたえない感情を作るのではないでしょうか。

うまくいかないことを、すぐに何かのせいにして、怒る人がいます。怒っているときは、「誰か(何か)が悪い。私は被害者」と問題を転嫁(てんか)し、自分を正当化しようとします。

でも、本当に“被害者”なのでしょうか。