「FIRE達成だけを考える人」の甘すぎる人生設計

家計を公開しお互いの収入と支出を共有した場合に、どのような反応が起こるでしょうか。FIREを目指す人にとっては相手の支出の多さに驚き、FIREを目指していない人から見れば驚きの貯蓄率かもしれません。

FIREを目指す者同士の結婚、あるいは夫婦が手を取り合ってFIREを目指すのであれば、同様の貯蓄率を維持できる可能性はあります。

いずれにせよ、新生活に伴う支出の増加により、FIREは先延ばしになる可能性があります。家族所有の空き家に無料で住めるなどの恵まれた条件がなければ、一般的にプラスに見える結婚というイベントもFIREを目指す障壁になるかもしれません。

子育ての費用で貯蓄率が下がる

FIREに関する書籍には、子どもに教育費をあまりかけないと書かれていることもありますが、現実的なのでしょうか。

子どもの教育費を準備することで、積み立て投資中に投資資金を一部取り崩すことがあれば、FIREは遠のきます。また、習いごとや受験にお金を投じると、貯蓄率が下がるため、同様にFIREが遠のきます。

教育は人的資産への投資であり、「究極の複利投資」であるという考え方もありますが、子どもを稼げるようにしても、自分のFIREにはプラスになりません。

また、DINKS前提で結婚したにもかかわらず、配偶者が子どもを望みDINKS設計が崩れることになったり、婚外子ができることで養育費を負担する可能性もありそうです。

教育にお金をかけずに済むような社会であれば、FIREの妨げにはならないのですが。

結婚や子育ては自分の意思である程度選択できますが、親の介護はどうでしょう。介護のために仕事量や収入を減らすことになったり、介護の交通費がかかり投資への入金力が低下する可能性があります。

場合によっては、FIRE資金を親の介護に充当することもあるでしょう。FIRE後に親の介護が必要になることもあるでしょう。

その場合には、仕事を辞めてから再就職できるスキルや体力があるかが課題になりそうです。FIREするための方策の1つである事業家になるタイプであれば、いつでも再起はできそうですが、倹約家タイプですと資産の回復が難しいかもしれません。

自分では関与できない要因に人生は左右される

FIRE挑戦中に仕事を失う恐れもあるでしょう。入金の元手となる収入がなくなったり、年収が下がることで入金力を維持できなくなる恐れがあります。

FIREにもいろいろなパターンがありますので、完全にリタイアしたい場合には、目標となる資金が多く必要です。仕事を減らしたり副業をしながらのFIREがリスク回避の意味においてはよさそうです。

無事にFIREにたどり着くためには、自分の意思と投資の仕組み化といった内部的な要因だけでなく、家族や経済環境の変化といった自分では関与できない外部要因にも左右されます。

すべてがうまくいってFIREにたどり着けたとしても、そううまく物事が進まない可能性もあるのではないでしょうか。

あなたの人生がいままで思い描いていたとおりにしか進んでいないのであれば、これからも同様に順調かもしれません。もし、そうでないのであれば、FIREを目指しながらも、FIREできなかった場合のプランも考えておく必要があるでしょう。

こんなはずじゃなかった……とならないために、事前に人生の分岐点について考えておきましょう。