1 息を吸うときは鼻から吸い、お腹をふくらませるように(風船のように)すること。息を吸っている後半には、胸も上がってきます。吸う時間の目安は4秒間。
2 息を吐くときは、無理なくゆっくりと、お腹に圧がかかっているのを感じながら吐いていきます。吐いている途中で多少、お腹がへこんできて、開いていた肋骨がお腹の内側に向かって閉じていきます。吐く時間の目安は6秒間。
息を吐くときは、口から吐いてもいいのですが、鼻から吐いたほうが、吐く速度をコントロールしやすいのでおすすめです。4秒吸って、6秒吐くという秒数設定は、「ちゃんと吐く練習」をするため。日ごろ「吸う」ばかりになりがちな現代人は、やはり吐く秒数を長くしたほうがいいのです。
もう1つ、迷走神経の働きを高め、心身を深いリラックスさせるエクササイズを紹介しておきましょう。私は毎晩、就寝時に行なっていますが、たいていは、このエクササイズだけですんなり入眠できます。日中、仕事や家事の合間の休憩時間に行なうのもおすすめです。
1 仰向けになり、両手を組んで後頭部(少し高め)に当てる。
2 5秒かけて鼻から息を吸う。両腕で包み込むようにして頭をしっかりホールドし、息を吐きながら、軽く矢印のほうに引っ張る。
3 5秒かけて鼻から息を吸う。息を吐きながら両ひじを開き、軽く肩甲骨を背中の中心に寄せるようにする。
※頭は上げずに、両手の上でリラックスしたまま、首が伸びるのを感じられたら◎。
4 3の体勢をキープしながら5秒かけて鼻から息を吸い、5秒ほどかけて息を吐く。これを2分間繰り返す。
長時間、座りっぱなしで、体を動かさずにいる人は特に、背筋が縮みがちです。背筋が縮まると胸郭も狭くなり、呼吸がしにくくなります。ここで紹介するエクササイズは、ひじと手首で床を押しながら背中を丸め、背中が丸まったときに肩甲骨が大きく左右に開く形になるように行なう呼吸です。
エクササイズの直後には、さっそく背筋がスッと伸び、視線が少し高くなったように感じられるでしょう。胸郭が自然と広がり、呼吸がしやすくなります。また、日ごろ縮こまりがちな首筋が伸びることで、首や肩のこりなども改善するはずです。
1 四つん這いになって両ひじを90度に曲げ、顔を下に向ける。両ひざを90度に保ち、股関節の真下にくるように(下向きの「コ」の字になるように)して、両足の指を床に立ててつく。
2 5秒かけて鼻から息を吸い、手首と両ひじ、両ひざで床を押すように意識しながら、背中を丸めるようにする。
※背中のみぞおちの後ろあたりに意識をおく。
3 背中を丸めたら、股関節とひざの角度を保ったままで、息を吐きながら上半身を少しお尻のほうに移動させる。
※腕は前方へ、肩は後方へ行くイメージで。首は亀のように前方に突き出し、背中の伸びを意識する。
4 3の体勢をキープしたまま、5秒かけて鼻から息を吸い、5秒かけて吐く。これを6 回繰り返す。
※エクササイズを終えて、立ったときに背が高くなったように感じれば◎。
腹圧呼吸にはお金も道具もいっさい不要で、必要なのは「1日5分程度の時間」を「毎日、続けること」だけ。それでいてべーガル・トーンを上げる効果は絶大です。
いつ行なってもいいのですが、おすすめの時間帯は、長い会議や仕事が一段落した後、そして寝る前です。これらのタイミングにこの呼吸法を行なうことでストレスがいったんリセットされれば、もうひとがんばりもできますし、夜は健やかな入眠が促されます。