デキる人が無意識でやる「思考の地図」の描き方

そうすると、残るのは接客です。これは、新規のお客さんには体感できない内容です。単価にも影響はないとは言いきれませんが、食事がまずくなったことと比べるとこちらのほうが可能性は高そうです。

このように、わかった情報をもとに原因を考えるということは重要ですが、実は変化がなかったという情報も重要な情報になるということです。

さて、あらためて今行った思考の流れを振り返りましょう。ポイントは2つです。

?問題があった場所が何かを明確にする

分析を進めてわかった問題の流れを図示化しましょう。「売上低下→既存が低下→既存の客数が低下」です。表から理解したことをしっかりと見える化することが重要です。

出所:『入社1年目から差がつく問題解決練習帳』
?問題がなかった場所も明確にする

問題の流れが見える化できたら、そこに、問題がなかったことを追加しましょう。「新規は問題ない」「既存の単価は問題ない」の2つになります。

出所:『入社1年目から差がつく問題解決練習帳』

既存の客数の低下ということだと、考えた3つの仮説はどれも可能性があります。

出所:『入社1年目から差がつく問題解決練習帳』

一方で、新規と既存の単価には問題がないということがわかれば、サイトと食事は、可能性を下げて考えることができるということです。

出所:『入社1年目から差がつく問題解決練習帳』

得てして人は問題があったという情報をもとに考えてしまうものですが、実は問題がなかったという情報も考えていくうえでは重要な情報になります。せっかく調べてわかった情報はしっかりと次につなげていきましょう。

足取りを記録する

迷子にならないためには、問題がなかったという情報もきちんと使っていくということだけでは十分ではありません。人の思考の過程は、いくつかの可能性を広げ、選択するということを繰り返して進んでいくからです。

つまり、思考を進めていくと情報量がどんどんと増えていき、その結果、どういう過程を経て今に至っているかを理解することが難しくなるからです。また、繰り返し進んでいく過程を踏むと時間が進むこともあり、出発点に近いところの内容は記憶しておくことが難しく忘れ去られる傾向にあります。

その結果、覚えている範囲の情報から、なんとなく思考を進めるという状態に陥ってしまいます。何を調べて、何に問題があり、何に問題がなかったのかが、曖昧になってくると今考えている結論がなぜ出ているのかもわからなくなります。また、正しい内容なのかどうかも経緯が追えないため、判断がつかないということになってしまいます。

そこで、思考の地図を書きながら進むということを意識してみましょう。心がけてほしいことは、2点です。問題があったことだけでなく問題がなかったことにも価値があるため、きちんと漏らさないように記録をすること。そして、どういう流れで今、その結論をだしているのか、そのつながりがわかるように考えてきた経緯を足取りとして追えるように記録をしておきましょう。

できると言われている人は、このわかったことと何を調べてきたかの足どりをきちんと記憶し認識できる容量が実はあるのです。「できる人」と自分は違うからとあきらめてしまうのではなく、今回解説した2つのポイントを意識して訓練することで迷子になる確率はきっと下がってくるはずです。