ここでは、インテグリティ(高潔さ、誠実さ、真摯であること)の培い方として、つねに学び続けることの大切さと、その具体的な方法について述べてみたいと思います。
今、世の中は急速にデジタル化が進んでいます。おそらくこれからの時代は、現在の多くの仕事が人工知能(AI)に取って代わられるような時代になるでしょう。私たちは、自分自身の存在意義を変えていかなくてはなりません。
テクノロジーに使われる側になってしまったら、そのときはもうお払い箱です。そうなりたくなければ、再教育的に自分を変革するしかありません。自分自身の存在意義を変えるためには、明日、来年と、どのくらい自分を変えておくかを今すぐ決めるくらいの決意が必要です。
大事なのは、つねに学び直す力をつけることと、そして学び方を学び、マスターすることです。
それではいったい何を学べばいいのか。語学と歴史と、できれば経済学。テクノロジーのアップデートを怠らないようにすべきだと思います。
テクノロジーというのは、なにも最先端のプログラミングができなくてもいい。ただしデジタル化で世の中がどう変わるかということは、学び直していかなければいけない。
英語は絶対に重要です。たとえばフィナンシャル・タイムズ、『エコノミスト』などの新聞や雑誌、すぐに翻訳書が出版されるようなベストセラーの経営書などは、ダイレクトに英語で読んだほうが早い。原典が英語で書かれているものは英語で読んだほうがいい。時間がかかってしまうけれど、慣れると早く意味がつかめるようになると思います。
社会人が学ぶときの代表的な手段が読書です。つねに学び直すためには、読書の習慣をつけることは必須でしょう。
コンサルタントがまさにそうなのですが、仕事によっては、若い人であっても、自分よりも20歳くらい年上の人ともまともな話ができなくてはなりません。読書によって知的雑談力のベースをつくっておくことが必要です。
そこで重要になるのが「何を読むか」ですが、私は自分と同じ意見の本や、自説を補強する本ばかりを読むよりも、自分とは異なる意見が書かれている本を読むべきだと考えます。もちろん反対の意見を目にするのはあまり愉快ではありませんが、不愉快な状況での頭の中の議論というのは、大きな学びになるものです。
私自身は、ビジネス書の類いや世の中で売れている本は、部屋に積み上がっているものの、あまり読まなくなりました。なぜならそこに書いてあるようなことはプロジェクトの中で実際に扱うことが多い。本を読まずともリアルな実例で学べるからです。もっと若いときは実務に携わる必要があったので、そういうものもよく読みましたが。