コロナ禍による緊急事態宣言下、酒類の提供停止に応じない飲食店に対し、金融機関を通じて圧力をかけようとする「恫喝まがい」の発言が猛批判され、撤回に追い込まれた経済再生担当大臣。
中小企業などを支援するための給付金をだまし取ったとする詐欺容疑で逮捕された2人の若手キャリア官僚。
この大臣も、若手官僚のうちの1人も東京大学法学部卒業で、「頭はいい」はずなのですが、彼らに致命的に欠けているのが「INTEGRITY(インテグリティ)」です。
「integrity(インテグリティ)」という言葉は、辞書では「誠実」「高潔」「廉直」などと訳されています。
英語で人物を評するときなどに「あの人はインテグリティがあるね」とか、「彼はないね」というように使われます。
「インテグリティがある」というのは、「人に対して誠実である」とか、「職務に対して誠実である」という状態を指します。
また、ある人物の言動に一貫性がある状態を指して、「インテグリティがある」とも言います。相手によって極端に違う態度をとる人は信用できない。そうではなくて、誰に対してもインテグレート(統合)されている誠実な対応をする人を指して、「インテグリティがある」と言います。
人間というのは相手によって見せる顔が違うものですが、それがある程度、インテグレート(統合)されていて誰に対しても同じように誠実であることもインテグリティのある人間の条件です。
「あそこではこう言っていたのに、ここでは別のことを言っている」というようなことがない。相手によって態度や言葉を極端に変えることがない、裏表のない人、他人にも自分にもウソをつかない人と言ってもいいかもしれません。
経営学者のピーター・ドラッカーも、『マネジメント【エッセンシャル版】基本と原則』の中で、マネジャーが持っていなければならない資質として「インテグリティ=真摯さ」を挙げています。
私はこれからのビジネスパーソン、プロフェッショナルやリーダーになろうという人たちには、このインテグリティを培うことがより重要になると考えています。
なぜなら、インテグリティが自分自身の軸となり、インテグリティという物差しがあれば、仕事において、そして人生においてさまざまな選択を迫られたとき、後悔しない意思決定ができるようになるからです。
そしてインテグリティは基本的な人格の土台となるものであり、日々自分で磨いて高めていかなければならないものだと思います。例えてみれば、パソコンのOS(オペレーティングシステム)のようなものです。
いくらいろいろなアプリケーションを集めても、OSがしっかりしていないと空回りする。それと同じように、いくら頭がよくても、いくら仕事上の知識やスキルを身につけても、OSに当たる基礎がしっかりしていないと上滑りしてしまったり、人に影響力を及ぼせなかったり、逆に自分の心身がすり減ってしまったりするのではないでしょうか。