ですから、チームでチャットをする場合、メンバー間で、「伝えたいこと」が「きちんと伝わる」ルールをつくり、共有することが大切です。
ルールをつくるうえでおすすめしたいのは、3つの「ない」を徹底すること。
1つめは、「曖昧表現を使わない」こと。 人によって受け止め方が異なり、誤解やズレが生じる可能性が高くなるからです。 「意識する」「頑張る」「手を抜かない」「気をつける」「できるだけ早く」などは、すべて曖昧表現です。こういった言葉を含んだ指示では、いつまでにどのレベルで仕上げればいいのかを、人それぞれの判断に委ねることになります。
このような曖昧表現を避けるうえで有効なのは「数値化」です。「A社の見積書をできるだけ早く作成してくれるかな」ではなく、 「A社の見積書を今日の3時までに作成してくれるかな。私が金額の最終チェックをして、4時までにA社に送りたいんだ」と必ず締切を数字で伝えるのです。 そのほうが、「目標(そもそもの目的、その中で自分に求められている役割や作業範囲)や「締切(いつまでに何をやればいいのか?)」が相手に明確に伝わります。
2つめは、「何度も連続で投稿しない」こと。 チャットは、会話に近い形で、短いメッセージを素早く投稿できる点が特徴です。ただ、きちんと整理をしてから投稿しないと、連続で投稿することになり、メンバーの時間を奪う原因となります。「報告・連絡・相談のどれに該当する内容か?」「自分がもっとも伝えたいことは何か?」――。 この2つを整理してから投稿することが大切です。
連続投稿を防ぐためにも、メンバー間で文章作成のルールを共有しておきましょう。 たとえば、チャットの冒頭には「報告・連絡・相談のどれに該当するのか?」を明らかにし、【 】でくくる(例【相談】)ことをおすすめします。そのうえで、相手に最も伝えたい内容を書くようにするのです。これは箇条書きでもかまいません。
3つめは、「個人的な感情を入れない」こと。 チャットでは「事実のみを記載する」をルールにしましょう。余計なことを書くと、伝えたいことが、伝わりづらくなるからです。
やりがちなのは”無意識の言い訳”です。「一生懸命粘ったが、成約に至らなかった」場合。報告者の胸中には「努力は認めてほしい」という思いが生じるため、「一生懸命粘ったものの……」といった表現を盛り込みたくなってしまうのです。
気持ちはわかりますが、この余計な表現があると、「成約できたのか否か?」という最も伝えたい情報が伝わりづらくなってしまいます。ですから、チャットでは「事実のみを記載する」というルールを守りましょう。
このような3つの「ない」を徹底したうえで、さらにおすすめしたいのは、「チャットから電話に切り替える際のルール」をあらかじめ設けておくことです。 これまでの経験上、作成に100字以上費やす内容の場合、チャットではなく電話で伝えたほうがスムーズかつ正確だと私は感じています。 チームで話し合い、最適なルールをつくってみてください。