仕事が遅い人が「良いと信じている3大悪習慣」

リモートワークでたるみがちな「仕事をスピードアップするノウハウ」をお届けします(写真:Pangaea/PIXTA)
世間では常識だとされていることが、実は仕事の生産性を下げていることが多々ある。経営者であり投資家、脳科学者の上岡正明氏が上梓した『自分のやりたいことを全部最速でかなえるメソッド 高速仕事術』より一部抜粋・再構成し、リモートワークでたるみがちな「仕事をスピードアップするノウハウ」をお届けする。

とにかく動き出せ!人生の時間は想像以上に短い

準備が整ったらとか、お金が貯まってからとか、コロナが落ち着いたらとか言っていたら、あっという間に人生は過ぎてしまいます。変わるなら、いましかありません。

私が考案し、実践している「高速仕事術」は、脳科学を徹底活用し、人間の特性に合わせて、最大の効果が出る方法です。脳の特性を理解し、脳のパワーが最大化する方法がわかれば、誰でも仕事のパフォーマンスをアップさせることができます。

それではさっそく、高速仕事術のノウハウのなかから、いくつかご紹介しましょう。まずは「5秒ルール」です。

何かを始めようとするとき、「やらなきゃいけない!」と思いながらも、なかなか行動に移せないことがありますよね。今日中に資料をまとめないといけないのにやる気にならない……たまったメールの返信をしなければいけないのに気乗りしない……などです。

さらに、人は何か新しいことや、いつもより少しでも難易度の高いことにチャレンジするとき、不安から行動を起こせなくなってしまう傾向にあります。

そんなときに役立つのが「5秒ルール」です。「5秒ルール」とは、アメリカテレビ番組の有名司会者で知られるメル・ロビンズ氏が考案した手法です。彼女は、TEDxで行ったプレゼンが大きな話題になったことで知られ、著書は全米100万部のベストセラーになっています。

その方法は極めてシンプル。何か行動しようと思ったときに、すぐさま「5、4、3、2、1」と、(できれば口に出して)カウントダウンして、「0」になるまでに必ず行動を起こす、というだけ。すると、どんどんやる気がみなぎってくるといいます。

実は、このことは脳科学の世界でも明らかになっています。人間は「行動するから、脳がやる気になる」ためです。数字を読み上げるのは、そのとっかかりになりますし、そもそも「みずからの口でカウントダウンする」というのも立派な行動です。これがトリガーとなり、やる気の脳内物質であるドーパミンが脳の行動中枢を刺激して、行動喚起のモチベーションに転換されるのです。

実際、この方法に慣れてくれば、カウントダウンをするだけで脳内信号としてやる気に変化を起こすことが科学的に可能になります。

大切なことなので、もう一度言います。行動につながるトリガーを上手に使えば、脳をコントロールすることができます。

今日はやる気が起きないなというときでも、「5秒ルール」で強制的に行動を起こしてしまいましょう。そうすれば、あなたの意思とは関係なく、やる気があふれてきます。実際、脳の側坐核という部位が行動によって刺激され、ドーパミンが分泌されることもわかっています。

「5秒ルール」は普段の仕事でも使えます。目を閉じて、数字を思い浮かべてカウントダウンを口にする。この行動によりグダグダ悩む時間がなくなり、仕事のスタートダッシュとスピードが格段にアップします。

入念な事前準備は脳科学的には最悪

行動を始めてひとつの物事に集中してフォーカスしていくには、ワーキングメモリ(作業記憶)の消費を最小限に抑えなければなりません。

ワーキングメモリとは、脳の前頭前野が担う機能で、思考力や集中力に直結します。ワーキングメモリは、ゲームでいうところの体力や魔力のようなもので、私たちにはそれぞれ一定の量しか与えられていません。