前回(「婚活サービスを訝る人が知らない『成婚』のリアル」6月16日配信)では、現代では新たな素敵な出会いの手段が婚活市場で完全に定着していると書きましたが、では、実際に婚活や、紹介経由などで出会いを増やした人たちは最後、どこで「君に決めた!」と、しているのでしょうか。
「ゼクシィ結婚トレンド調査2019 首都圏」では、「相手と一緒に将来を生きたかったから」「相手と一緒に生活をしたかったから」という理由が過半数を超え、ダントツです。対照的に「経済的に安定するから」「世間体が気になったから」などの理由を選んだ人は、5%を切っています。
ここからわかることは2つ。まず、人は明確な理由を意識して結婚していない、ということです。「愛しているから」は理由じゃないのか! と言われれば、結婚する理由としては納得しそうになりますが、相手と一緒にいるだけなら、恋人や事実婚でも可能です。
しかし、貞操の義務や財産分与が発生する……キツい言い方をすれば「縛り」がある結婚をわざわざ選ぶとするならば、その理由は「愛プラスα」にあると考えてもよさそうです。「愛しているなら結婚するものでしょ」と世間体が気になっている以上、世間の制度に従ったほうが楽だから……という理由で結婚する人は多いでしょうし、私も実際にそうでした。つまりは、あんまり結婚のメリット・デメリットを調べたりはしないし、この年齢で好きな人がいるんだからと、勢いで結婚していくわけです。
結婚制度で最も知られていないのが「婚費(婚姻費用)」のリスクです。婚費とは、普通の社会生活を維持するために必要な、居住費、生活費、子供の生活費や学費のこと。法律上、婚姻費用については、夫婦がその負担能力(収入の大小等)に応じて、分担する義務を負っています。
つまり、相手のほうが年収や財産、社会的地位が高ければ、相手から婚費として同じレベルの暮らしをするだけの金額を受け取ることができます。逆に、相手のほうがそれらが低いのならば、支払う義務を負うのです。
よく、離婚せずに別居を長年続ける夫婦がいますが、これは相手から婚費を受け取れるからこそ成り立つケースが少なくありません。ドラマなどでは不倫やDVなどを理由にした「慰謝料請求」という言葉ばかり登場しますが、不倫の慰謝料は多くても200万~300万円程度。対して婚費は結婚している限り続く支払いとなりますから、別居中でも、離婚調停中でも請求できてしまうのです。
これまでは、男性の年収が女性より高い結婚が一般的でした。しかし、長引く不況と女性の活躍をすすめる政策とのセットで、男女の年収が同じくらいだったり、逆に女性の年収が高かったりするケースも増えるでしょう。そういった際に、婚費については女性も支払う側として知っておくべき要素です。
プラス・マイナスというよりも、「自分にとってはメリットがあるだろうか」は、せっかくおひとり様が生きやすい社会になりつつある今こそ、考えてみてもいいのではないでしょうか。実際に、事実婚を選ぶご夫婦も少しずつ増えてきています。