これは、「結婚した男女が感じる『幸せ』『不幸せ』のリアル」(6月9日配信)で紹介した筒井淳也教授が幸福度の調査で挙げていた「メンタルサポート」の説とも一致します。課題に直面したとき相手が信頼できる行動をとってくれないのであれば、メンタルサポートは望むべくもありません。そうして幸福度が下がり、不幸を感じた夫婦の何割かは離婚を選んでいくのです。
さて、ここまでさまざまな数字を見てきましたが、みなさんが知りたいのは1点だと思います。それは「結婚したほうがいいのでしょうか、それともしないほうが幸せなんでしょうか?」ということでしょう。税制、法律、世間体、愛情など、まったく別ベクトルの要素が混ざり合うのが結婚です。このような複数の要素が絡む場合は、結婚に限らず「その人にとって得があると感じるなら、動いたらいいんじゃない?」という結論になります。
たとえば、「片方が無職になっても、扶養義務があるからもう片方がサポートできるのは、お互いにとって得だな」と法的なメリットを考えたり、「彼に何かあったとき、家族以外面会謝絶になったら、私は会いに行けないから結婚したい」と考えたりして、結婚したいと思う方もいるでしょう。
私は、これまで自分より年収が高い方とお付き合いした経験はありませんが(誤解されないように申し添えますと、私は別にお金持ちではありません)、結婚については賛成派です。というのも、夫婦という単位は賃貸契約を結ぶにしても、入院手続きをするにしても、何かとスムーズだからです。貴重品の受け取り、予約代行など「奥様ですか」「はい、そうです」で完結する手続きの多さに、これまで何度も驚かされてきました。
世間体に流されるといえばそれまでですが、「なんで結婚していないんですか」という質問をワンクッション、一生聞かれることが私には苦痛でたまらなかったのです。
これをお読みになっている方の中にも、世間の「なぜ結婚していないんだろう」という視線にうんざりしている方が、いらっしゃるのではないでしょうか。わざわざ「趣味が忙しくて」「仕事に邁進していたらこの年になっちゃって」と、結婚しないそれっぽい言い訳を並べる自分にも、嫌悪感がつのりました。私と似た考えを持った経験がある方にとって、婚費や家事分担の一般的なリスクを知ってもなお結婚したいというのは、十分合理的だと思うのです。
とはいえ、結婚する相手を間違えると、不幸ばかりが増えてしまうのも事実。結婚は幸せを保証しませんが、自分を不幸にするパートナーを選べば、不幸は確約されたようなものでしょう。
不幸にならないためには「世間一般」ではなく、「自分自身」が何に幸せを感じるのか、自己分析していくことが必要不可欠です。