この問題が解けたという東大生に話を聞いたのですが、多くの学生は遠近法が英語でなんていうのか知らなかった、という人がほとんどです。東大に合格するような人でも、その知識はなかったわけです。
では、どんな解答をしたのかというと、「この写真は面白い!」「猫がとてもかわいく撮れている写真だ!」というようなことを書いていたのだそうです。実際、僕も、遠近法がわからなかったので、「これは猫のフィギュアなのではないだろうか?」ということを書いて東大に合格しました。
この問題は、難しい知識を求めているのではないのです。うまく自分の持っている知識を使って、問題に対応する柔軟な発想が求められているのです。知識をたくさんつければいいということではなく、その知識をどう活用するのかを考えるということが必要になってくるわけです。
さて、ではこのような「知識を活用する能力」というのはどのように身につければいいのでしょうか。
ドラマの中で、天野晃一郎(加藤清史郎)くんは、英語を発信するユーチューバーになりました。そして普段から、英語を使って発信するということを実践していました。間違いだらけの英文でも、とにかく発信をして、とりあえず英文を作っていました。すると面白いことに、どんどん英語の成績が伸びて、今回の問題も解けるようになりました。
マスクの問題での天野くんの解答は、「おいおい!両脇のお前らマスクの使い方間違ってるじゃんよ!誰か伝えてやれよ!」というものでした。
細かい文法のミスはありますが、基本的に難しい単語は1つも使わずに、この問題の解答を作っているのです。おそらくこれであれば、模試でも本番でもある程度は点数が来るはずです。
こうやって問題が解けていくようになる過程は、実は東大受験生でもよくあるパターンなのです。
実際、僕もそうだったのですが、英語でツイートを行って外国人と絡んだり、スマホの初期設定言語を英語にして普段からスマホをいじるときにはいつでも英語を使うようにしたりする。
そうやってどんどん英語を活用することで、知識の運用能力を身につけていく勉強法を実践していた人って意外に多いんですよね。必要なのは、どんどん知識を使っていこうとする姿勢なのではないかと思います。
東大生の中には、世界史の教科書を読みつつ、東大の教授が書いた世界史の本を買い、「なるほど、この部分を研究する人がいるのか」と考えながら勉強していたと語る人がいます。これも、世界史で身につけた知識を大学でどのように活用するのか、意識して勉強するという方法ですよね。
もっと簡単なもので言えば、多くの東大生は勉強した内容というのを自分で説明できるようにすることを実践している人が多いです。ノートに新しくまとめ直したり、後輩や同級生に自分で授業をしてみたり、くまのぬいぐるみに今日習ったことを実際に説明してみるということをしていた人だっていました。
かく言う僕もよく、受験生時代にはペットのオカメインコに「17世紀の世界は……」と説明していました。身につけた知識を、実際に自分の口で説明するという意味で、活用をしていたというわけです。これも、知識の運用能力を上げる勉強の一つだと思います。
知識をたくさん蓄えるだけではなく、その知識をいかに活用するのかということを考えなければならないというのは、東大を受験する人以外でも重要な視点ではないかと思います。そのためには、天野くんのように英語を発信するユーチューバーになる……というのは、さすがにハードルが高いと思いますが、できるところからどんどん知識を活用していくことを実践してみてはいかがでしょうか。