ドラゴン桜に学ぶ「東大受かる柔軟発想」の磨き方

模試で合格の見込みがないと判断された者は専科をやめなければいけないという高いハードルを課した『ドラゴン桜』主人公の桜木建二(阿部寛)(写真:©TBS)
現在放送中のTBS系ドラマ「日曜劇場『ドラゴン桜』」は、元暴走族の弁護士である桜木建二(阿部寛)が、偏差値が低い子どもたちを東京大学合格に導くストーリーだ。ドラゴン桜ではさまざまな受験テクニックや勉強法が紹介されるだけでなく、学びになる名言も多い。そこで、短期連載として、原作漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当で、ドラマの脚本監修も行っている現役東大生の西岡壱誠氏が、自身の経験や取材も踏まえながら、ドラマから得られる教訓について解説する。
今回は「入試問題に隠された東大の意図」について。
第1回:東大生も納得「ドラゴン桜」本質すぎる受験心得
第2回:「ドラゴン桜」見た東大生が語る「挫折の重要性」
第3回:ドラゴン桜で再確認「東大受かる思考力」習得法
第4回:ドラゴン桜でも実践!東大生は「頼る力」がすごい
第5回:本当?ドラゴン桜「性格悪い奴は東大落ちる」根拠
第6回:ドラゴン桜で理解「東大生が勉強好きになる秘密」

東大の問題は大学入試では類を見ない

6月6日に放送された日曜劇場「ドラゴン桜」第7話で、ついに東大専科のメンバーたちは東大模試を解きに行きました。

東大模試に臨んだ「東大専科」のメンバーたち(写真:©TBS)

東大の問題形式で出題される問題の数々に、専科のメンバーは打ちのめされてしまったわけですが、実はこの「東大形式の問題」というのはかなり特殊で、類を見ないような問題です。

今回、ドラマの中で使われた問題は僕が作らせていただいたのですが、例えば、その問題の1つはこんな変な問題でした。

下の3枚の写真について簡単に説明した上で、あなたがこれらの写真について思ったことを述べよ。全体で60語~80語の英語で答えること。
(写真:筆者提供)

マスクを耳につけている人・口につけている人・目につけている人がいて、この写真について「あなたが思うことを述べよ」という問題ですね。

「ええっ、これが東大模試の問題なの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、東大は何度もこのような「写真についてあなたが思うことを述べよ」という形式の問題を出題しています。

以下をご覧ください。

(出所)2016年英語 第2問

試験会場で見て、僕は頭が真っ白になった

これは2016年、僕が受験した年の問題です。遠近法で手が大きく見える画像を出して、「あなたが思うことを述べなさい」となっています。

これを試験会場で見たときには、頭が真っ白になって、「いや、あなたが思うことを述べなさいと言われても、何も思いつかないよ……」と思ったことを覚えています。

なぜ東大は、こんな問題を多く出題しているのでしょうか。

その年の東大の入学式で、当時の総長の五神真先生はこんな式辞を語っていました。

それぞれ試験の手応えは如何だったでしょうか。私たちは知識の量ではなく、基本となる知識を柔軟な発想によって使いこなす力こそが大学での学びへの備えとして最も大切だと考えています。そのような期待を込めて出題させて頂きました。

東大というと、膨大な知識の量が必要でいろんな参考書を何十冊も丸暗記しないと合格できない……なんて思われがちなのですが、実はそんなことはありません。知識の量はある程度必要なのですが、そこを重視するのではなく、むしろ「知識の運用能力」を求めているのです。

例えば、猫の手の問題、みなさんはどんなことを英語で書こうと思うでしょうか? おそらく多くの人は「これは遠近法だよね」というようなことを書こうと思うのですが、遠近法って、英語でなんて言うのでしょうね?