ここ数年、レモンサワーの人気が盛り上がっている。このコロナ禍で居酒屋にも行きにくい中、日々の晩酌のために冷蔵庫に買いだめしている人も多いのではないだろうか。
昔からレモンサワー自体はあったが、大幅にバリエーションが増しているのが近年の特徴だ。こだわりのレモンを使用したり、大量のレモンを使用してレモン風味を強化したり、凍らせたレモンを使ったり、すりおろしレモンや塩レモンを使ったり、ベースのお酒が焼酎のほかジンやウォッカになったり――。一口にレモンサワーといっても、これだけ多様化していて、目移りするほどだ。
少し前、レモンサワーの元祖といわれる居酒屋が注目されたり、レモンサワー飲み歩きがちょっとしたブームにもなったことが記憶にある人もいるかもしれない。
そもそも人気化した経緯としては、2008年からのウイスキーのハイボール人気があった。
もともとバー業態を中心にウイスキーのソーダ割りという飲み方はあった。が、バブル期以降、日本ではウイスキーの消費は右肩下がりだった。それをなんとか盛り返したいと考えた国内ウイスキーメーカーが、あらたにハイボールとしての飲み方を提案し、それが見事あたった格好だ。
ウイスキーをソーダで割ることで、爽快な口当たりになり、アルコール度数も下がる。サワーやチューハイと違い甘さがなく、穏やかなスモーキー香があるハイボールは、料理に合わせやすく、ビールが苦いと敬遠していた層にもフィットした。
CMに人気女優を起用したことも人気に拍車をかけたし、なにより提供する飲食店にとって、ハイボールは原価率が低く売りやすいことが強力な後押しとなった。
このハイボール人気が、“ソーダ割り系のお酒”が広く注目を集めるきっかけとなった。なかでも、人気が集まったのがレモンサワーだったのだ。
レモンを使った爽快さ、フルーティーさ、軽快さ、料理との相性の良さ、なんとなくヘルシーな感じ。それらが魅力となって、あらたに居酒屋での注文が増えていったのだった。
いま、コンビニやスーパーでは、たくさんの缶入りレモンサワーがところ狭しと並べられている。種類が多いことはありがたいが、悩ましいのは、どれがどういう味わいなのか、どれが自分好みの味かがわかりにくいこと。
そこで、筆者がレモンサワーの飲み比べをした結果をご紹介したい。レモンサワー選びの参考になるかもしれない。
まずは、缶入りレモンサワーをカテゴリー分けする。
分類は、「レモンの果汁感が多いか少ないか」と「甘いか辛いか」の2軸で、4タイプに分けた。ここで、雑誌Penの特集「ニッポンの美酒。」(7/1号、2020年)において、レモンサワーについてのページ内に掲載されたマトリックスをご覧いただこう。筆者がすべて試飲しマトリックスに落とし込んだものだ。
ちょうど真ん中あたりに位置する「こだわり酒場のレモンサワー」(サントリー)をベースにすると、果汁感多めは「琉球レモンサワー」「成城石井オリジナルレモンサワー」「ハイサワー」。果汁少なめは、「氷結ZERO」や「八海山 よろしく千萬あるべし 焼酎ハイボール ドライレモン」など。
また、辛口は「タカラcanチューハイ レモン」「キリン 本絞り レモン」。甘口は「キレートレモンサワー」「こだわりレモンサワー 檸檬堂」など、となる。
果汁の量と辛口甘口を基準だと4タイプくらいに分けることができ、これなら比較的シンプルで分かりやすいのではないだろうか。もちろん、すべての缶入りレモンサワーを網羅しているわけではないが、例えば、ここに掲載されている銘柄と掲載されていないものを比較していき、マトリックスに落とし込めば、ご自身独自のマトリックスができ上がるだろう。