漫才コンビ・キングコングの梶原雄太氏がYouTubeチャンネル『カジサックの部屋』を立ち上げた2018年を境に、芸能人の参入も増え、YouTuberの競争が激化した。プロの作家や編集チームを抱えるチャンネルもあり、全体の質もどんどん向上している。
「最近、YouTuberと話していると、『ライバルが増えて、動画の回転数が減っている』と言う人もいるんですよ。競争が激しくなっていると感じます。
これまでのYouTubeは”ながら”で観られるものでヒットしたものも多いけれど、今後はプロの手が入って作られるもので勝っていくものも増えていくと思います。大ヒットした石橋貴明さんのチャンネルは、長年テレビ番組でタッグを組んでいたプロの演出家・マッコイ斎藤さんが作っています。ああいうパターンが、今後も増えていくんじゃないでしょうか」
鈴木氏は、2019年11月に立ち上がり、アーティストの一発撮り歌唱パフォーマンスを公開しているYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」が、エンタメの流れを大きく変えたと語る。
「YouTubeも各チャンネルがメディアとして機能していますよね。とくに『THE FIRST TAKE』が、もたらした変化は大きいです。コロナ禍で、コンサートができない中で、とてつもない速度で音楽業界を変えました。
サブスクリプションサービスが台頭したあとも、業界関係者はなんだかんだでオリコンチャートを気にして、CD売り上げを強く意識していたけれど、それもいよいよ変わるんじゃないでしょうか。『THE FIRST TAKE』からヒット曲も生まれましたし、企画勝ちですよね」
これまではインフルエンサーや芸能人など、すでにファンを抱えているYouTuberが強いとされてきたが、鈴木氏は生活に密着した企画が伸びるとも分析する。
「40~50代がどう思うかはわからないですけど、20~30代にとっては、YouTubeやInstagramは『必要なものを探す場所』になっていることも多い。『髪型どうしよう?』と悩んだら、まず検索して、美容師インフルエンサーの動画を観て、ヘアスタイルを決める。なんとなく眺めるものではなく、生活の中に入り込んでるものも多い。
雑誌に代わる存在で、目的視聴になっていますよね。ちょっと前ならクックパッドを検索していたけれど、YouTubeで動画検索したほうが手順がわかりやすいし、早い。カタログのようにザッピングできるのも魅力です」