「書くこと」が苦手な人が知らない「文章の型」

まちがってはいないものの、「書いている人の顔が見えない」文章になっています。訴えかける力が弱い、うわべだけの文章です。これではいけません。ある程度の長さの文章を書くときには、「具から抽!」を意識して、読者に伝わる文章に仕上げていきましょう。

「まとめの決め言葉」から文章を組み立てる

基本的には「具から抽!」というルールで、思考を深めていけばいいのですが、それではなかなか文章を書き始められないときもあります。とくに時間制限がある試験では大変です。そんなときに使えるのが、「まとめの決め言葉」です。

まずこれらの言葉のなかから、自分の結論を決定します。そしてその結論に至る具体例を考えていくのです。このように、抽象的な事柄から、具体的な思考へ導く方法は「演繹法(えんえきほう)」とよばれます。

またこの方法は、『疑う力』にも通じます。「それが正しかったら、何が起きるか?」と結論から考え、具体例を頭のなかに見つけていきます。

先ほどと同じ「レジ袋の有料化をどう考えるか」の問題を考えてみましょう。

<例題>
2020年7月からスーパーやコンビニにおいて、レジ袋が有料化されました。このことについて、あなたの考えを書きなさい。

まずゴールを決めます。ここでも「レジ袋の有料化はプラス」という方向で文章を書いていくことにします。次に、まとめの決め言葉のなかから結論にできそうなものを選びます。「公的な事柄」と考え先述した【B】のなかから選びます。ここでは「特定の立場にとらわれず」を使って思考を深めていきましょう。

<抽象的結論>
私たちは、特定の立場にとらわれずに、レジ袋の有料化を進めていくことが大切だ。

この結論に当てはまりそうな具体例を考えていきます。「特定の立場にとらわれないことが大切」だとしたら、どんなことが言えるかを考えます。

<具体的な内容>
消費者と事業者が連携し合う 
利用料で生分解プラスチックを応援する
日本だけでなく、世界という枠組みで考える
<解答例>
海を守るために、私たちにできることはたくさんある。その一歩がレジ袋の有料化だ。これは消費者である私たちと、事業者が連携すれば、大きな効果を生み出すことができる。たとえば、有料化で得た資金を、自然界で分解される「生分解プラスチック」の研究や開発に使うのはどうだろう。そうすることで、消費者も環境適合性の高いプラスチックの開発に貢献できる。

たしかに、これまで当たり前のように無料で利用できたレジ袋がもらえないのは、不便に感じるだろう。しかし、私たち一人ひとりがたんなる消費者という立場にとらわれないことが大切だ。私たちは消費者である以前に、地球 市民の一員 なのだ。そういった意識を持って、レジ袋の有料化を進めていくことが大切だ。
 
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抽象的な内容から、具体例を導きだしました。

このように、結論を決めてから「その結論に至るには、どんな内容がくるべきか」と演繹的に具体例を考えるのも1つの方法です。

今回解説したいくつかの方法を意識するだけでも、文章はグッとよくなりますし、書きやすくなります。ぜひ参考になさってください。