まちがってはいないものの、「書いている人の顔が見えない」文章になっています。訴えかける力が弱い、うわべだけの文章です。これではいけません。ある程度の長さの文章を書くときには、「具から抽!」を意識して、読者に伝わる文章に仕上げていきましょう。
基本的には「具から抽!」というルールで、思考を深めていけばいいのですが、それではなかなか文章を書き始められないときもあります。とくに時間制限がある試験では大変です。そんなときに使えるのが、「まとめの決め言葉」です。
まずこれらの言葉のなかから、自分の結論を決定します。そしてその結論に至る具体例を考えていくのです。このように、抽象的な事柄から、具体的な思考へ導く方法は「演繹法(えんえきほう)」とよばれます。
またこの方法は、『疑う力』にも通じます。「それが正しかったら、何が起きるか?」と結論から考え、具体例を頭のなかに見つけていきます。
先ほどと同じ「レジ袋の有料化をどう考えるか」の問題を考えてみましょう。
まずゴールを決めます。ここでも「レジ袋の有料化はプラス」という方向で文章を書いていくことにします。次に、まとめの決め言葉のなかから結論にできそうなものを選びます。「公的な事柄」と考え先述した【B】のなかから選びます。ここでは「特定の立場にとらわれず」を使って思考を深めていきましょう。
この結論に当てはまりそうな具体例を考えていきます。「特定の立場にとらわれないことが大切」だとしたら、どんなことが言えるかを考えます。
抽象的な内容から、具体例を導きだしました。
このように、結論を決めてから「その結論に至るには、どんな内容がくるべきか」と演繹的に具体例を考えるのも1つの方法です。
今回解説したいくつかの方法を意識するだけでも、文章はグッとよくなりますし、書きやすくなります。ぜひ参考になさってください。