「昨日もタイアップの提案がありました。2022年の何月頃でと話があって、2022年も普通に『進撃の巨人』の仕事やってるんだなって(笑)。単純に、終わったー! って言ってブッ倒れたい気持ちというか、俺の青春終わった、みたいになりたいのも本音。
でも一方で諫山さんの才能を考えると、読まれている量が少ないと思っている自分もいるんです。まだまだやるべきことがあります」
インタビューの最後、川窪の口から出てきたのは、時代が変化しても揺るがない編集者としての「矜持」だった。
「漫画を描くことが何のためにされる作業なのかっていう出発点が僕にとっては一番大事。どんな漫画を描けば作家にとっての自己実現になるのか、そういうことを隣で一緒に考えて引き出してあげるのが編集者の姿だと思うんです。時代が変わっても変わらない、僕のスタンスです」
そして、『進撃の巨人』に対しても、揺るぎない「愛情」をみせた。
「『進撃の巨人』は自分の物語に置き換えられる、世の中の希望や絶望のすべてを描いています。僕を信じて、普段、漫画を読まない方も読んでみてほしい」
そう言い残して、川窪は仕事場(物語の世界)へと戻っていった。(敬称略)