発達障害でも「要領がいい人」「悪い人」の境界

発達障害の人でも「要領よく働く」方法とは?(写真:KY/PIXTA)
「これまでの人生、しくじりばかりだった」。
そう振り返るのは、『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』の共著者であるTwitterフォロワー約37万人のF太(えふた)さんと、発達障害のある会社員の小鳥遊(たかなし)さん。
累計82万部を超える「アウトプット大全」シリーズの最新刊『ブレインメンタル強化大全』を出版した精神科医の樺沢紫苑氏とともに、「頑張っているのに仕事がうまくいかない」と悩む人のためのメンタルマネジメント術について語りました。

F太:僕はずっと「自分はなんて要領が悪いんだろう」と思って生きてきました。やりたいことが見つからず、公認会計士試験に挑んでみたものの不合格。アルバイト先のコールセンターでは、研修で学んだはずなのに電話をとった途端に頭が真っ白に……。上司に「要領が悪いね」と言われ、3カ月でクビになりました。

小鳥遊:私もそうです。20代は司法書士を目指して勉強していましたが結局受からず、アルバイト先はクビ同然で退職。やっと定職につくも、自分のミスや上司の目に毎日ビクビクしていたら抑うつや適応障害を発症して、休職と退職を繰り返していました。

実は、十数年前に発達障害のADHD(注意欠如・多動症)と診断されていて、それも要因の1つだと思うんですけど。

樺沢紫苑(以下、樺沢):発達障害と診断される人は10人に1人と言われていて、軽度の人や「自分もそうかも」と感じている人も含めると全体の2~3割にのぼります。

私のところにも「要領が悪い」「コミュニケーションが苦手」という相談がたくさん来ますが、なんでも要領よくこなせる人や緊張せずに話せる人なんてほんの1割程度の印象。その1割の「できる人」を見て、みんな落ち込んでいるんです。実際は大半の人がなにかしらの問題を抱えているのですから、自分を責める必要はありません。

発達障害でもなんとかなる!

F太:確かに、小鳥遊さんと僕で開催している仕事術のイベントにも、はたから見れば要領がよさそうな方がたくさんいらっしゃいます。まわりとの比較や上司からの叱責で「要領が悪いと思い込んでいる」人、それゆえに自信をなくしている人ってすごく多いですよね。

小鳥遊:現在、『タスクペディア』というタスク管理支援ツールを無料提供しているんですが、これは私が仕事のミスや効率の悪さに悩んでいたときに自作したExcelツールがベースになっていて。「自分が無理なく対応できる方法」を考えた結果、エリートビジネスマンも実践しているようなタスク管理法に行き着いたことは、かなり自信になりましたね。「こんな自分でも、やり方次第でなんとかなるかも」って。

F太:仕事がうまくいかない人に僕がまず勧めているのは、手順書を作ること。世の中にはマニュアル化されていない仕事が多いのに、上司からは「自分で考えろ」と言われますよね。なにから手をつければいいか迷っているうちに別の仕事もお願いされたりして、頭がパニックになってしまう。

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やるべきタスクと手順を全部書き出すことで、自分の中にマニュアルができます。あとはそれどおりに繰り返していけば、スポーツと同じで徐々に体が覚えてくれる。慣れてきたら、よりよい進め方に最適化していく余裕も生まれます。

樺沢:書き出すことは大切ですね。とくに手順書やTO DOリストはゲーム化しやすいです。タスクが終わったら1行ずつ消していって、1日の最後にはコンプリート、という感じで。私は繰り出し式の太めの赤鉛筆でタスクを思いっきり消します。スッキリしておすすめですよ。