心理学者のマイケル・ゼイラー氏によれば、脳は決まったパターンで与えられる報酬よりも、予期しないパターンで報酬を与えられた方が、喜びが大きくなるという特性があります。
ネットサーフィンやYouTubeも全部が面白かったり、有益であるわけではありません。でも、たまに面白かったり「へえ!」という驚きのある記事にあたるからこそ、私たちはネットサーフィンをやめられなくなってしまうのでしょう。ギャンブルと同じ構造で、脳がハマってしまうのです。
しかし研究によれば、同じ娯楽の時間であっても、目的意識のないままに過ぎてしまう時間は、能動的に楽しもうとする時間に比べて幸福度が下がることがわかっています。
ある習慣を引き起こすきっかけを「トリガー」といいますが、これには2種類あります。1つはインナートリガーといって、「自分の身体」がトリガーになっているケース。「お腹が鳴る」というトリガーから「お菓子を食べよう」という悪習慣が発動します。
もう1つはアウタートリガーといって、「環境」がトリガーになっているケースです。「LINEの通知が出る」というのがトリガーで「スマホを触る」という悪習慣が発動します。
生活の中で強く習慣になってしまっている行動は、このインナーとアウターのトリガーの連鎖です。ネットサーフィンの場合、「疲れた~」というインナートリガーが「仕事じゃないことをしたい」という気分にさせてスマホを手にさせ、スマホの画面に現れる通知やアプリのアイコンというアウタートリガーからYouTubeやNetflixのアプリを押して動画を見るという習慣に入ってしまいます。
この場合、「疲れた~」と思ってスマホを見ても、アウタートリガーとなる通知を切っておいたり、アプリを削除しておくことで一連の流れに入ることを止めることができます。
データによれば、2019年の日本人が所有するアプリは平均99.3個、利用しているアプリは37.5個だそうです。あなたはいくつ持っているか、自分で知っているでしょうか? 時間泥棒のアプリはブラウザから能動的に見に行けば見られますので、いったんスマホから消してみましょう。時間の使い方に意識的になれます。
また、自分がやりたかったことを思い出すことで、受動的な時間を減らすこともできます。
・もっと本を読みたい
・〇〇の映画を全部見たい
・もっと家族と時間を過ごしたい
・もっと仕事以外の世界と触れたい
というように、自分のぼんやりと思っている欲望を書き出して、時間の使い方を具体的にイメージするのも効果的です。
時間をどう過ごすか考えることは、人生をデザインすることです。同じ動画を見るにしても、惰性ではなく、ちゃんと見たほうが何倍も楽しめるもの。せっかく手に入れた時間ですから、意識的に過ごしてみてください。きっと1週間後、1カ月後の自分に変化が訪れます。