南カリフォルニア大学の心理学教授、ウェンディ・ウッド氏によれば、人の行動のうち60%は無自覚だそうです。つまり、1日のうち半分以上は、自分でも何をしているか自覚していないうちに過ぎていることになります。
幸福度を上げるためには、1日のうちで自分が自由に使える時間を把握し、それを有効に活用することです。時間を記録するには、ウェブカレンダーを使ったり、手帳に書き込んだりもできますが、便利なアプリも多数あります。
1日の時間の使い方といっても、大半は仕事だよ! という方もいるかもしれませんが、1日は24時間。24時間から会社の就業時間を引いたら何時間残るか、試しに計算してみましょう。会社が8時間を就労時間と定めていたら、1日のうち16時間はプライベート時間ということになります。リモートワークが進んだ会社では、もっととれるかもしれません。
心理学者のアンダース・エリクソン氏によれば、人がもっとも高い集中力を発揮できる時間は1日におよそ4時間だそうですから、ダラダラ仕事しないで、就業時間を終えたらさくっと切り替える方が、かえって生産性が上がるのです。そして、プライベートの時間をどう過ごすかが、人生の満足度、充実度を上げてくれることになります。
今日のプライベート時間を確保したら、仮に3つに分類して、それぞれ所要時間を考えてみましょう。理想は次のようなバランスです。
もしも「受動的に過ごす時間」が1日のうち2時間以上あった場合は、改善が必要かもしれません。もちろん、目的があって動画を見ていたり、趣味としてネットを見ている場合はいいのです。リラクゼーションの時間としてゲームをするのも大賛成です。その場合は、動画を見る時間もゲームをする時間も「能動的な時間」としてカウントできると思います。
ただし、こうしたアプリやゲームは、脳が次々に見たくなるような反応を起こすようにつくられています。Netflixの調査では、61%の人が、一度見始めると2~6話を連続して見ているという結果になりました。5人に3人は連続視聴をしていることになります。また、NBCニュースは、動画を連続視聴しているときの脳は、ドラッグ中毒者と同じ状態になっていると告げています。
目的があって見始めても、いつの間にか見ようと思っていなかったものまで見続けてしまうことはよくあります。が、それではあっという間にプライベート時間が消えてしまいます。これらのアプリは脳の性質を利用してつくられた仕組みですから、意思の力では勝てません。対抗するにはこちらもこのサイクルにはまらないような「仕組み」をつくらなくてはなりません。