あずさは、まだ男性の1人暮らしの部屋に行くのは早いと思っていたが、2人だけの車内での突然な提案に、断る言葉がすぐに出てこなかった。あずさが黙っていると、「ね、そうしようよ」と、返事も待たずに車を発車させた。窓から移りゆく光景を見ながら、あずさは、だんだん腹立たしくなっていった。そして、強い口調で言った。
「車を停めてもらえませんか? 私、“行く”とは言ってないですよね。まだ、結婚を決めたわけではないし、その段階で、1人暮らしの男性の部屋に行く気持ちにはなれません。しかも今日は、森林公園に行くことになっていたのに、勝手すぎませんか?」
彼女の言葉に誠司は驚き、戸惑いを隠せない声で言った。
「ご、ごめんなさい。あずささんといると、本当に楽しくて、僕は、もっと早く仲良くなって、結婚をしたいと思っていたから」
誠司のような男性は、短期決戦で成功を収めた経験が過去にあるのだろう。ただそういう女性とは結婚に至れなかったから、現在独身でいるのだ。勝手なもので、ガードが緩く男性のペースに乗ってきて、すぐに男女の関係になれた女性だと、関係を持った時点ですうーっと興味が失せてしまう。
婚活で出会い、そこから結婚に到達するためには、期間を区切り、その期間は、集中して婚活をしていくことが大切だと冒頭で記した。
しかし、マメに連絡も入れているし最低でも週1回はデートをしているのに、何度か会うと、相手から交際終了が来てしまう。
そんな人は、相手の立場に立って自分が行動をしていたかを、考えてみるといい。相手の気持ちが読み取れていないことが多いのだ。行動を起こすことは、婚活においてしなくてはならない最低限のこと。さらに、相手の気持ちが今どこにあるのかを確かめ、進めていかなくてはいけない。
もう何年も婚活をしているのに結婚できないという人は、自分の婚活のやり方を見直し、お見合いから交際に入ったら、マメに連絡をして行動を起こし、相手の気持ちに寄り添いながら、結婚までの道筋を作っていくといい。