ワクチン接種の前に知っておきたい「抗体」の話

代表的なところだと、風邪やさきほどのインフルエンザ、デング熱などには終生免疫はつくれません。

なぜかというと、これらのウイルスの遺伝子は、頻繁に変異するので抗体がくっつく部分の形を変えてしまうのです。ですので、ワクチンや感染によってせっかく獲得免疫を得ても、数カ月から数年しか持ちません。

『LIFE SCIENCE 長生きせざるをえない時代の生命科学講義』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

さらには、ヘルペスウイルスのように神経細胞の中に潜伏するため獲得免疫がまったくできないものもいます。中には、免疫システムの情報伝達を妨害できるように進化したウイルスもいて、ウイルス対人類の闘いは熾烈です。だから、未知のウイルスが出た場合、獲得免疫ができるかどうかはわからないわけです。

さきほど麻疹の話をしましたが、ワクチンとは、この獲得免疫の仕組みをつかっているものです。病原体の一部や、毒性を弱めた病原体、あとは、毒がないけれど鍵の部分だけにしたものなどを体内に入れて、効く抗体を記憶させます。

ここまでで、抗体の話はだいたいわかったと思います。ぜひ日々の生活に役立てていただければと思います。