こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャ®」の大野萌子です。
親しい人の相談を聞きながら、「またその話?」と思ったり、「どう反応したらいいのかな?」と悩んだりしたことは、ありませんか? 頑張って話を聞いて、別れてからどっと疲れたり……。
最近、そんな「聞き疲れ」をしている人が増えていると感じます。
とくに、相手を思いやる気持ちの強い聞き上手な人ほど、頑張りすぎて心身をすり減らしがちです。
この、話を聞くときの「モヤモヤ」や「イライラ」は、何が原因なのでしょうか?
今回は、拙著『『聞き上手さん』の「しんどい」がなくなる本 自分も相手も嫌いにならない話の聞き方』から、話を聞いても疲れなくなるコツをご紹介します。
「これってどう思う?」「どっちがいいと思う?」と聞かれることは、よくありますよね。
とくに、聞き上手な人は、人から相談されることが多いと思います。
例えば、「恋人と別れたほうがいいと思っているけれど、別れられない。どうしたらいいと思う?」と相談を受けたとしましょう。あなた自身は「別れたほうがよさそうだな」と思うけれど、「本当は別れたくない」という相手の気持ちも察すると、返答に迷うのではないでしょうか。
関係性にもよりますが、それでも相手のためをと思って「私にも同じような経験があるけど、別れたほうがいいと思う」「気持ちはわかるけど、そろそろハッキリさせなきゃ」などと、アドバイスをするかもしれません。
実は、この「アドバイスをする」という行為が、聞き疲れの原因になっていることがあるのです。
その理由は主に2つあります。
1つは、「頭を使っていること」です。
アドバイスをする人は、話を聞きながらも「どんなアドバイスをするか」ということに意識が向いています。自分の経験を思い出したり、相手を傷つけない言葉を考えたりして、頭を使いすぎるのです。この「考えすぎ」が疲れの原因になります。
もう1つの理由は、悩みに対してアドバイスをした後に、「ああ言ったけれど、よかったのかな」と悩んだり、「いいことを言えたはず!」と得意になったりすること。話を聞いた後も感情が揺れ動き、疲れにつながります。
また、この後で詳しくお話ししますが、アドバイスで他人を変えるというのはとても難しいことです。「いいアドバイスをした」と思っていたのに、実行もされず、また同じような相談をされる……ということが起きるのはこのため。何のために親身に相談に乗ったのかと、疲れの原因になります。
そもそも、相談をしてきた人というのは、本当に意見やアドバイスを求めているのでしょうか?
例えば、友だちとのショッピングを例に挙げてみましょう。
AとBのどちらを買えばいいか相談されたとします。よくあるのが、自分がAをすすめたとしても、「Bがいいと思うんだよね」と、結局は本人が決める、というケース。
アドバイスしたほうは「悩んで損した」「決まってるなら聞かないでよ」と思いますよね。この場合、友だちが求めていたのはアドバイスではなく、自分と同じ「B」という答えです。
このように、答えは、必ず本人の中にあります。深刻に思える相談でも基本的には同じで、本当に求めているのは、自分の決断を後押ししてもらうことなのです。
それでも、なかには、「自分の経験を伝えて参考にしてもらえたら」と思う人もいるかもしれませんね。