とくにRe-organizeできればインパクトは大きい。このよい成功事例が、アマゾンの倉庫管理だ。
アマゾンは入庫した商品をカテゴリーごとに仕分けして保管していない。倉庫内は漫画本の横にビジネス書があるなどバラバラなのだ。それでは注文のあった商品をピッキングするのが大変ではないかと思うが、アマゾンの場合、保管場所と商品がすべてバーコード管理されているために簡単に見つけ出すことができるという。
これは巨大ECサイトとして非常に合理的だ。なにしろ、客は「自分の趣味の小説Aと子どもの学習ドリルB、それから、乾電池CとサプリメントD」など注文内容がバラバラ。商品の保管場所と情報がひも付けられていれば、仕分けすることに意味はないのである。そこでアマゾンは「仕分け」の工程を削除したわけだ。
リアルな商品とバーチャルな情報の2つを切り離し、作業プロセスをRe-organizeしたとも言えるのである。
「矢バネ」はタテ・ヨコの2軸を用いることで、2次元で考えることにも使える。その3つの基本ステップについて知っておこう。
あなたは、ある商品の販促について考えているとする。まずは、店頭に並んだ商品が手に取られて、実際に購入されるまでの段階を想像し、それを5~6個のカテゴリーに分けて描き出そう。顧客の一連の行動を分析するのだ。
商品が売れるまでには、まずその商品を知ってもらう「認知」の段階がある。次に、知っていても「興味」を持たれなければならず、さらにほかの商品との比較なども起きる。その結果、これを買いたいと「欲求」されなければならない。だが、誰もが欲しいものすべてを手に入れるわけではなく、そこには実際に買うという「行動」が起きなければならない。
この4つの段階を図にしたものが、AIDAと呼ばれる非常に有名なマーケティングのフレームワークだ。
顧客の消費行動を捉える際に活用できる。
次のステップでは、このAIDAをヨコ軸にして、2次元で考えるためのタテ軸を設定する。例えば、タテ軸に顧客の数を取り、市場に存在する総顧客数から、4つの段階を経て商品を買う人の数までの滝のような図を描いてみる。
すると、興味は持っても欲しいとまでは思われない、欲しいと思っても買わない理由があり、行動を起こさないなど、それぞれの段階で顧客を取り逃がしている理由が見えてくる。
タテ軸の設定は、基本の「矢バネ」に対して90度の角度で考えるのがベストだ。つまり、それぞれの段階に対して、対立、直交、あるいは質の異なる軸にはどんな要素があるかを考えるのである。上の図では、認知・興味・欲求・行動という顧客の4つの段階、つまり「質」に対して、顧客の数、つまり「量」をタテ軸にとっている。
最後のステップは、「矢バネ」とタテ軸で作られた2次元の面を、いかに「動的」な視点を意識して眺めるかという作業だ。
とくにこれら4点は重要なヒントになる。図を眺めながら、新たな発想、課題をあぶりだしていこう。
「矢バネ」を自由に使いこなせるようになると、さまざまなビジネスシーンに応用が利く。