「占い」と聞いてどんなイメージを持つだろうか。「女性のもの」「胡散臭い」「怖い」……。多少興味があったとしても、例えばビジネスの場で本気で占いについて語り合うことはあまりないだろう。
一方で、少なくない数の人が、朝の情報番組の占いコーナーを気にしたり、あるいはジンクスを信じていたりしているのではないだろうか。書店では占い本が売り上げ上位にランクインし、人気占い師の週刊占いをSNSにアップする人もちらほら見かける。
気がつけば、意外と身近になっている占い。本連載ではそんな占いを否定することも肯定することもなく、さまざまな角度から検証していく。初回は、占いに対する造詣が深く、占いページの編集も手掛けるファッションエディターの青木良文さんに、占いの価値、ビジネスパーソンの占い活用法について聞いてみた。
青木さんによると、中国では、地位の高い人ほど「生年月日」を公表しないという。運気を読まれてしまう懸念があるからだ。東洋の占いである算命学や四柱推命では、一生における”バイオリズム”のようなものを見ることができる。歴史に名を残した武将たちも、戦況に占いを用いた人物は少なくないと言われている。
「占いは、人生の運びや自分の本質を知ることができるとても便利なもの。人生の地図のようなものなのです」と、青木さんは話す。青木さんの場合、自身の人生の出来事と照らし合わせて見ても、占いで見るバイオリズムと不思議と合致しているという。
青木さんが占いに出会ったのは20代半ば。仕事のことや家庭のことで悩んでいた時期、たまたま本屋で、中森じゅあんさんの「算命学」の本が目に留まった。
「算命学とは干支暦をもとにした中国の占星術で、誕生日から自分の本質や人生のバイオリズムを算出するものです。自分がどん底だった年を見てみると、まさに最悪の時期、天冲殺でした。そこでようやく人生には流れがあることを知り、自分の人生を受け入れることができました。このことをきっかけに占いに興味を持ち始め、占いの勉強を始めてから20年になります」
占いには、西洋占星術(星占い)や手相占い、四柱推命、タロットなどさまざまな種類があり、中には「お告げ」的なものもある。当時の青木さんにとっては、アップダウンを含めた人生の運び、いわばバイオリズムが示される算命学が腑に落ちたという。
算命学では12年間に2年巡ってくる休養期「天冲殺」が開けると、スタートの運気がめぐってくる。青木さんは、このタイミングでまったく違う畑から出版社に転職し、一から編集者のキャリアをスタートさせた。現在まで22年、天職ともいえる活躍ぶりだ。
「自分の本質やバイオリズムがわかると、人生の計画を立てやすくなり、起きた出来事にも納得できる。そして、仮に当たっていなかったとしても『今がいい時期!』と言われると自信を持つことができます。私が考える占いとは、健康診断で血糖値やコレステロール値を知って、対策を取るのと同じようなもの。信じる/信じないではなく『活用するもの』だと考えています」