学校・資格試験の受験勉強、仕事のスキルアップのための勉強などの緊急性のある学びから、教養を身につけるための勉強など一生をかける学びまで、私たちはいくつになっても何かを学び続けます。
勉強を始めると多くの人が、次のような悩みを抱えます。「勉強に手が出ない」「勉強に集中できない」「覚えられない」「学んだ知識の応用がうまくいかない」「勉強習慣が定着しない」。ここで、学生時代から今に至るまで、自分が勉強してきた場面を思い出してみましょう。その学習環境や勉強方法が、あなたの勉強常識です。
もし、あなたが今、「勉強がはかどらない」「もっと勉強の効率や効果を上げたい」と感じているのならば、その常識から一旦離れて、「科学的な勉強常識」を試してみてください。勉強がはかどらないのは、自分の経験からつくり上げた「勉強常識」が原因であることが多いからです。
「科学的勉強常識」とは、脳と体を最適に覚醒させた状態で勉強を行う技術のことです。脳と体を最適に覚醒させると、「スムーズに勉強を始める」「やる気にムラがなく、安定して勉強に集中する」「勉強の理解を深める」「新しい知識を覚える、その知識を応用する」「問題の解決策がひらめく」ということが、可能になります。
最適な覚醒状態をつくるために最も大切なことは、脳の負担を減らし、省エネで勉強することです。
意志の力、努力に頼って勉強をすると、脳は大きく消耗し、体が動かなくなってしまいます。また、過度に集中できた経験(勉強のランナーズハイ)などから、自分の能力に自信を持って勉強に向かってしまうと、総合的なパフォーマンスを落としてしまいます。
つまり、意志の力、努力、頭の良さなどに依存せず勉強することが効率と成果を最大化させる秘訣なのです。
たとえば、多くの人が持つ勉強常識には、「勉強はもともとできる人と、できない人がいる」「勉強で結果を出すには、危機感を持ったほうがいい」「教材を読み込む。勉強中はしゃべらない」「ご褒美を設けて、やる気を出す」「勉強時間を増やすために、睡眠を削る」というようなものがあり、これらは、脳に大きな負担をかけてしまうので、挫折する可能性が高まります。
科学的な勉強常識では、「脳神経の迷走神経の働きをうまく導けば、誰でも勉強できる」「勉強する時間を区切って、目線を外したり、席を立ったり水分をとると、パフォーマンスが上がる」「勉強できないときは体の状態に従っているだけだから、勉強にふさわしい脳と体の状態を用意すればいい」「学習は、不十分な理解のまま、学んだことを言語化、文章化する」となります。
今までの経験から導き出した勉強常識を一旦やめて、科学的常識を実行することで、脳は最大限に活かされ、無理なく楽しく勉強を行うことができます。
「脳と体を最適に覚醒させて勉強する」という科学的勉強常識を行うためには、脳の神経のひとつである迷走神経をうまく導くことが重要になります。とくに、腹側迷走神経という脳の神経が重要になります。
迷走神経という耳慣れない言葉を聞くと難しく感じるかもしれませんが、「勉強するときに、両足の裏を床につける」など簡単なことで科学的勉強常識は実行できます。これだけでも、脳のメモ機能が向上し、勉強がはかどるのです。