「地頭の良い人」に憧れる人が知らない勉強技術

覚醒レベルは高すぎても、低すぎてもいけません。高い覚醒のときは交感神経系が覚醒し、緊張感が高まり、焦り、不安な状態になります。低い覚醒のときは背側迷走神経系が覚醒し、体が萎縮、頭が回らない、やる気が起こらない、投げやりな気分になり活動量が低下します。

腹側迷走神経系が覚醒すると、脳と体が最適に覚醒した最も適した状態で勉強に向かえます。

生物である人間のスペック(脳と体の構造・性能)を知り、それに合わせた方法で勉強すれば、無理なくパフォーマンスが上げられます。もともとの頭の良さは必要ありません。

腹側迷走神経系を覚醒させるには、以下のステップを踏むことが有効です。これらは、順にステップを踏んでいくと最も効果的ですが、自分ができそうなものを単体で行っても効果があります。

勉強のパフォーマンスを高めるステップ

セルフトレーナーの起動:自分で自分をリードするメタ認知機能の起動

ステップ1を行う前に、すべてのステップで確実に行動を変えるために、まずは自分の中にいる「セルフトレーナー」を呼び起こします。そもそもどんなふうに勉強している姿を「理想の自分」として描いているのかを振り返り、そのイメージを明確にします。

「理想のイメージと現状の勉強状態とのギャップを埋める作業」を通して、自らを第三者の目線で見るメタ認知機能を呼び出します。勉強に必要なのは、自分の頑張りではなく、自分が頑張れる環境を用意する力です。セルフトレーナーを起動することで、達成までムダのない行動をとることができるようになります。

ステップ① チューニング:体の動きを少し変えて、腹側迷走神経系を働かせる

チューニングは、勉強に最もふさわしい体の状態をつくる技術です。体が整っていなければ、頭は働かないし、前向きに勉強できません。体づくりと言っても、ハードな筋力トレーニングやランニングする習慣をつくる必要はありません。たとえば、息を吐いたり、笑顔をつくったり、指サックをはめたり。勉強に臨むときに、ほんのちょっと心がければできることばかりです。

ステップ② セッティング:大きな挑戦、過度な集中や勉強後のご褒美など、安定したパフォーマンスを妨げることをやめる

どんな人にも、自分なりの勉強の仕方があります。ただし、これは経験則でつくられてきたものです。もし、勉強に取りかかれなかったり、やるときとやらないときの波が激しかったら、それは理想的な脳と体の状態を壊す学習環境になっています。脳と体は、用意された環境に従っただけです。

脳と体を変えるには、環境を変えなければなりません。勉強に適した脳と体の大敵は、「大きな挑戦」、「過度な集中」、そして「ご褒美」です。これらをやめてみることで、勉強が楽しくなってきます。

セッティングによって、スムーズに勉強へ入ることができるようになります。勉強は、「入り方」がとても大切です。入り方次第で、集中できることもあれば、1日をまったくムダに過ごしてしまうこともあります。

ステップ③ アウトプット:その日の勉強は必ず言語化して終える

生物にとって勉強は、「次の行動を向上させるためのもの」です。自分の中に勉強内容を留めただけで行動に移さなければ、学んだ知識はすぐに失われてしまいます。学んだことを行動に移すと、その行動によって得られた情報が自律神経を介して勉強に最適な脳と体をつくり続けます。

そのため、アウトプットなしでは勉強に最適な脳と体の状態は維持できません。学んだことを人に教えると、「教えている自分のほうが理解が深まった」という経験があると思います。人に教えることは勉強ボディを維持するために最も望ましい環境ですが、そういう環境がつくれなくてもアウトプットはできます。