コロナ感染で「自宅療養に必要なもの」リスト

新型コロナウイルスに感染したとき、「入院」の対象が限定されることとなりました。自宅療養しなければならないとき、どのようなものが必要になるのでしょうか(写真:RyanKing999/iStock)
連日、過去最高の新規感染者数を記録している新型コロナウイルス。いつどこで誰が感染してもおかしくはない、そんな状況が続いています。そして乾燥していて気温の低い冬のいま、感染リスクは更に高まっています。
どうやってこの冬を乗り切るのか? また万が一感染したとして、自宅療養となった場合、家族はどう看病したらいいのか? どうしたら家庭内感染を防げるのか?
そうした問いに答える新著『新型コロナ自宅療養完全マニュアル』を、テレビ番組のコメンテーターとしても活躍する白鷗大学教育学部教授の岡田晴恵氏が上梓しました。
東京都医師会の順天堂大学教授・小林弘幸氏と鳥居内科クリニック院長・鳥居明氏も監修に加わった同書から、一部抜粋・再構成してお届けします。

新型コロナで自宅療養しなければならないときに

新型コロナウイルス感染症患者については、これまで一律に「入院」とされてきましたが、2020年10月24日から「入院」の対象は、

▼65歳以上の者
▼呼吸器疾患を有する者
▼臓器等の機能低下が認められる者
▼免疫機能低下が認められる者
▼妊婦
▼重度・中等症の患者
▼医師が「入院させる必要がある」と認める者
▼都道府県知事が「感染症の蔓延防止のために入院させる必要がある」と認める者
▼蔓延防止のための事項を守ることに同意しない者

に限定することと変更されました。これら以外の人には、宿泊療養あるいは自宅療養を求めるということです。さらに東京都は、医療提供体制がひっ迫していることを受けて、一律入院とされてきた65歳以上の高齢者であっても70歳未満で基礎疾患のない人は、ホテルなどの宿泊施設での療養を検討していくことになりました(2020年12月17日現在)。

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軽症というのは、酸素の吸入を必要としない場合ですので、実際には38℃以上の熱や激しいせきなどのつらい状態の人も軽症として宿泊・自宅療養せざるをえない状況になることがあります。

38.5℃以上の高熱でせきもひどく、自分では「重症」と思って病院に行ったのに、「軽症」と診断されてしまった、という話があります。これは、2020年10月現在に示されている重症度分類は、決して症状や熱だけで分けられるのではないためです。重症度を分ける基準は主に「酸素飽和度」。これは、血液の中にどれだけ酸素が含まれているのかを示すもので、正常値で96~99%です。

これが96%以上だと「軽症」、93~96%で「中等症Ⅰ」、93%以下で「中等症Ⅱ」となります。「重症」は酸素飽和度だけではなく、人工呼吸器が必要か、またはICUで濃密な治療が必要かなどで判断されます。このように、酸素飽和度が96%を下回らない限りは、いくら高熱であっても「軽症者」に分類されます。

この酸素飽和度は、パルスオキシメーターという機械で測定が可能です。2020年10月に施行された、入院対象者に対する政府方針の変更で、高熱があっても必ずしも入院できるとは限らなくなりました。つまり、発症してすぐに入院というわけではなく、都道府県が用意した施設での宿泊療養、もしくは自宅療養が必要になることもあるのです。そのため、容態の変化を測るパルスオキシメーターを自宅に用意しておく必要があるかもしれません。

軽症者は特別な治療をしなくても回復していくことが多いとされますが、マスクの着用や手洗いを励行しましょう。また、人との接触はできるだけ避け、同居家族がいる場合は生活空間を分けます。また、軽症と診断されても容態が急変することもあるので、油断してはいけません。