当然ながら、多くの人が納得できるのは、主観よりは客観。したがって、主張を支える根拠としては、客観性のある事実を示す必要がある。
B「多くの社員が行きたいと言っていたので、部門合宿は、箱根がよい」をさらに具体化するためには、「“多くの社員”とは具体的に何人で、社員全体の何割程度にあたるのか」「『行きたいと言っていた』とは、どのような状況での発言なのか」について説明すべきだということ。
客観的な事実をさらに具体化すれば、説得力をより高められるからだ。
具体化のためのポイントは、次の2つ。
先ほどの合宿の例に当てはめて考えてみよう。
「部門合宿は、箱根がよい」に対する根拠は、「多くの社員が箱根がよいと言っていた」というものだった。この根拠を分解すると、「多くの社員」と「箱根がよいと言っていた」という2つの要素から成り立っていることがわかる。
次に、それぞれの要素ごとに「どのように具体化することが可能か」について。
まず「多くの社員」を具体化するためには、「多く」がどの程度の多さだったのか、具体的に何人だったのかを提示する必要がある。また人数だけでなく、「社員のどのくらいの割合の人たちが言っていたのか」を示せば、説得力はより高まることになる。
「箱根がよいと言っていた」について可能となるのは、どのような状況下で「箱根がよい」と言っていたのかを具体的にすること。「部門合宿はどこがよいのか?」ということを議題にした会議での発言なのか、それとも飲み会の席で盛り上がった際の発言なのかによって、説得力は大きく変わってくるわけだ。
この例で言えば、「多く」について、例えば「6割の社員が言っていた」などの具体的な事実を示すことができれば、説得力が増すことになる。
なお「言っていた」については、具体的に「どのような状況での発言だったのか」について言及する必要がある。
次に、「部門合宿は、箱根がよい」ということを根拠づけるため、「多くの社員が行きたいと言っていた」以外の根拠を考えてみたい。
さて、A、Bそれぞれの説得力を上げるためにはどうしたらいいだろうか?
まずAに関しては、「費用が安い」ということがポイントになりそうだ。具体的にいくらなのか、例えば「1人2万円と費用が安いので、箱根がよい」というように具体的な金額を示すことができれば、説得力が増すからである。
一方のBにおける注目点は、「友達と行ったことがある」という部分。「前職の同僚と行ったことがあるので箱根がよい」というような主張のほうが、より響きやすいわけだ。
ここまで考えてきたのは、「主観より客観がよい」「客観情報は、具体的なほうがよい」ということ。