確かに、それだけでも相応の説得力がつくことになろう。とはいえ、このレベルで止まってしまうと、さらに思考を進めることはできなくなりそうだ。では、どうすればよいのか? 演習問題を例に考えてみたい。
また、B:「前職の同僚と行ったことがある」も、さらに具体化できるだろう。
「前職の同僚」を引き合いに出すことで伝えたいのは、「新しい部門での合宿として適切だ」ということ。そのため、さらには「前職は同業種だった」というようなことを添えられれば、聞き手の安心感が増す。
同僚や前の部署についても、人員構成に現在の部署と似た部分があるなどの情報が加われば説得力は大きくなるはずだ。つまり、類似点を訴求することが意味を持つということだ。
「行ったことがある」については、「いつ」行ったかがポイント。すなわち「10年前なのか」「3年前なのか」、どちらがよいかということ。最近のことであるということが示せれば、より強さが増すのだ。
思考を細分化するためには労力が必要とされ、もちろん難しいことでもある。そのため、「なんとなくこんな感じ」というレベルにとどまってしまいがちだ。例えばこのケースで言えば、「具体化できるといいよね」で終わらせてしまうことにもなりかねないということだ。
しかし大切なのは、そこからもう一歩踏み出して具体的に考えること。それが説得力を生み出し、思考力を鍛えることにもなるからだ。だからこそグロービスは、「考えがまとまったレベルからもう一歩、二歩深めて考えるという姿勢を持っておくべき」だと主張している。
ここでご紹介したことは、あくまで基本にすぎない。だが、こうして考えてみると、ロジカル・シンキングは決して難しいことではないということがわかるのではないだろうか?
ある意味においては“当たり前の考え方”であるが、しかし、つい怠ってしまいがちなことでもあるのかもしれない。だとすれば、論理的に考える習慣をしっかりと身に付けることができれば、当然ながらそれはビジネスにおける大きな武器となっていくだろう。