AIの台頭やグローバル化、フェイクニュースの拡散などが叫ばれています。
インターネットやメディアを通じて、大量の情報が入ってくる時代に求められるのは、情報の真偽を判断できる力や、自分にとって必要な情報を選びとる力です。
わかりやすく言うと、
「ネットやテレビではこう言っているけれど本当なのだろうか?」
「先生の言っていることは本当に正しいのかな?」
「この情報は自分にとって役に立つものなのか?」
と自分自身で考える力です。
もちろん、その考えを相手に論理立てて主張する力も重要です。
「自分の頭で考える力」そして「自分の考えを相手に伝える力」、きっとみなさんも、我が子にこのような力をつけてほしいと考えていることでしょう。
私たち日本人は、これまで「先生の話は黙って素直に聞く」よう教育されてきました。しかし、世界ではこれと真逆の教育が行われています。
それは、「人の言うことを鵜呑みにするのではなく、一から自分の頭で考えましょう」という教育です。
この傾向は、欧米だけでなく、シンガポールや中国などアジアでも広がっています。
もはや「世界の常識」といっても過言ではないのです。
さらに、グローバル化にともなって、これまでのようになんとなく考えを察し合える相手とだけ仕事をしているわけにはいかなくなっています。異なる文化背景を持った人々を相手に、自分の意見を明確に述べなければいけない場面はますます多くなってきます。
こうした変化に対応できる教育として、日本でも「自分で考え、意見を述べる力」を養うことが重視されはじめているのでしょう。
そうなると、教育のごく初期の段階から行われる絵本の読み聞かせにも新しい役割が期待されます。
読み聞かせは、新しい時代の教育においても、最適な教材の1つです。
日米の親子を対象に、読み聞かせのやり方にどんな違いがあるのかを研究していたとき、一緒に調査をしていたアメリカ人の先輩研究者に、こう言われたことがあります。
「日本の親子って、ほほえましいよね」
読み聞かせをするとき、日本の親は子どもを自分の膝の上に座らせたり、横に座らせたりして、子どもの顔をときどきのぞき込んで目を合わせながら、おだやかな雰囲気のなかで絵本を読んでいくのが普通です。
その親子の仲のいい姿が、とてもほほえましいというのです。
では、これと比較して、アメリカの親子の読み聞かせはどうかというと、うるさいくらいに子どもたちがしゃべり、親子で対話をしながら絵本を読み進めていきます。
それが読み聞かせのスタンダードだと思っていたアメリカの研究者からすると、日本の親が子どもを慈しむようにして絵本を読み聞かせる姿は、とてもほほえましく見えたというわけです。
なぜ、日本とアメリカの読み聞かせに違いがあるのでしょうか?
そのヒントは、次の表にあります。アメリカでは、読み聞かせをする親は、はっきりと「絵本はことばを教える教材である」と考えているのです。読み聞かせは、英語の読み書きができるようになるための勉強です。