筋トレは体をただ鍛えるだけではなく、疲れた心を整える目的としても活用できる――。『ビジネスエリートがやっているファイトネス~体と心を一気に整える方法』を上梓した、元総合格闘家で企業研修トレーナーの大山峻護氏が、自身の考案したエクササイズの方法を紹介します。
わたしは、晴れた日に空を見上げるのが大好きです。澄み渡った青空を見ると、背筋がスッと伸び、心も晴れやかになります。それどころか体も軽やかになったように感じ、体を動かしたくなってきます。反対に、仕事がうまくいかないときは、背筋が丸まり、心も沈みがちです。そんなときは体も重く、何もやる気が起きません。みなさんもそのような経験をしたことはないでしょうか。
かつて、わたしが総合格闘家だったころ、結果が出ない日々に強いストレスを感じていました。ヴァンダレイ・シウバ選手、ダン・ヘンダーソン選手、ミルコ・クロコップ選手ら、格闘技の世界で頂点に立つ強豪たちと対戦しましたが、その高い壁に何度も跳ね返され、その度に、気持ちを入れ替えて次の試合へと走り出していました。
現役当時の戦績は、33戦14勝19敗。これを見てもわかるとおり、決してキラキラした現役時代を送ってきたわけではありません。ただ、負けが多かった分、立ち上がった回数も人よりも少し多かったと言えるでしょう。
もちろん、負けたときは大きく落ち込みます。ふさぎこみ、誰とも話をしたくないと思ったことは一度や二度ではありませんでした。しかし、いつまでもそのようにはしていられません。次の戦いに向け、再び闘志を燃やし、トレーニングを続ける必要があるからです。
そんな経験を繰り返していくうちに身につけることができたのが、ネガティブになってしまった自分を、毎回ポジティブな思考に持っていくすべでした。そうしてたどり着いたのが、「大山式エクササイズ」です。これには、3つの特徴があります。
1つ目の心を前向きにする動作は身近なことでも実践できます。わたしは、自分の気持ちが落ち込んでいると感じたときは、必ず自分の体の状態を観察することにしています。心が落ち込んでいるときは、体にもネガティブなサインがあらわれている、と考えるからです。
さらに、これまでの挫折経験から、心の状態だけを無理やりポジティブに変えるのは非常に難しいということを知っています。だから体の状態をチェックし、次に体の状態をポジティブな状態に変えて、心に変化を与えるようにしています。たった3つのポイントをチェックして修正するだけです。
人は悩みがあると自分の内面と対話を繰り返します。そのようなとき、目線が左下を向いていることはないでしょうか。このように心の状態は目にあらわれやすいので、まずは目線が下を向いていないかをチェックしてみましょう。
スマートフォンやパソコンに触れる機会が多いと、背筋が丸まり、肩が内側に巻いてしまいがちです。また、緊張して僧帽筋(そうぼうきん)という肩の筋肉が上がっている方もよく見かけます。
「肩に力が入っている」と体がロックされてしまい、思ったように口や体を動かすことはできません。仕事中などに一瞬だけでも我に立ち返って自分の姿勢をチェックしてみると良いでしょう。