東大生が見た「頭が柔らかい人、硬い人」の習慣

人は通常、どちらか一方の立場にしか立てないものです。しかし、だからこそ、自分の今の立場と反対側の立場で真剣に考えてみるのです。

レストランに入ったときにお客さんとしてではなく、そこで働く人や経営者の立場に立って考えてみる。本を読むときに、その本を書いた人の気持ちになって考えてみる。話すときに、聞く人の気持ちを考えてみる。ニュースに怒りを覚えたら「何かどうしようもない事情があったんじゃないか」と考えてみる。

普段からそんなふうに考える習慣がある人は、頭が柔らかい人になれるのです。

東大入試でも、この思考プロセスを推奨している問題があります。

次の文章は、数年前の東京大学入学試験における、日本史の設問の一部と、その際、受験生が書いた答案の一例である。当時、日本史を受験した多くのものが、これと同じような答案を提出したが、採点にあたっては、低い評点しか与えられなかった。なぜ低い評点しか与えられなかったかを考え、(その理由は書く必要がない)、設問に対する新しい解答を5行以内で記せ。(1983年 東大日本史第1問)

「点数を低くつけなければならなかった理由を考えなさい」。すごく型破りな問題ですね。

なんでこんな問題が出題されたのかを考えると、問題を解く受験生に対して、「出題者」「採点者」の側に立って問題を解くことを推奨したのだと解釈できます。受験生の反対側にいる、採点者の立場で考えることができるかを問う問題だったのです。

他にも、「最近は頻繁に市町村合併が行われているが、それによって困る立場の人のことを考えて答えなさい」とか「この学説に対する反対意見を答えなさい」とか、そんなふうに「逆の立場」で物事を見る姿勢を求める問題がかなり多く出題されています。

日常のあらゆることの「裏側」を考える

自分以外の立場に立って物事を考えてみるのは非常に難しいですが、だからこそ普段からこれを意識しておけば、硬かった頭がどんどん柔らかくなっていくと思います。

僕もはじめはこの思考が身につかず、例に挙げた入試問題も解けない、頭の硬い人間でした。そんな中で心掛けたのは、「反対側はなんだろう?」と、日常のあらゆることの「裏側」を意識することでした。

例えば「70%の人が効果を実感している!」と書かれている広告を見たら、「逆に30%の人は効果を実感していないんだよな」と考えてみるのです。情報をそのまま受け入れるのではなく、あえて真逆の情報として受け入れてみて、そのうえで「じゃあ、どうして30%は効果を実感しなかったんだろう?」と裏側を深掘りして考えていくわけです。

同じ情報も、見方によって見えるものがまったく違ってきます。そのことを普段から意識すると、どんどん頭が柔らかくなっていくと思います。

いかがでしょうか? 「頭が硬い」とお悩みの方は、ぜひ少しでも参考にしていただければ幸いです!