アップルの低迷→復活の歴史に見えてくる本質

ジョブズ氏は前述のように、2005年以降、ある種の神格化された扱いをされています。しかしそれ以前は、名経営者には程遠い、評価の低い起業家でした。1996年のアップル復帰の際も、多くの人はジョブズ氏がアップルを復活に導くとは考えていなかったのです。

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ある一時点において、周囲から「名経営者」と評価されていたとしても、これは、あらゆる方面の経営能力が優れていることを意味するものではありません。あるいは、長期的に優れた経営をしてきたことを示すものでもありません。

ビジネスパーソンの評価はこのように、短期間で定まるものではなく、また一時的な評価が恒久的に続くものでもありません。ですから仕事においては、「高い評価を得よう」という焦りは禁物です。それよりもむしろ、目の前の高評価を諦めてでも、将来の種をきちんとまき続けられるかどうかが、真の意味で「優れた仕事」をするカギなのです。