カルビー「1位なのに低収益だった」意外な過去

シェアトップだからこそ必要な危機感

カルビーのケースは、市場が横ばいになる「成熟期」において、すでに高シェア商品を持つ企業が組織の危機を突破する際の典型的な例といえます。

ITなどの変化の激しい業界とは違い、食品業界などでは、顧客の嗜好が急激に変わることは滅多にありません。そのため、最初に「ロングセラー」を生み出した大手食品メーカーが、その後も優位性を構築することが多いのです。結果として、一度獲得したシェアが崩れることは滅多になく、企業としては「高シェア商品」という盤石な基盤によって、経営は安定します。

このような状況下で起こりがちなのが、企業の慢心の結果として生じる固定費の増加です。

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まず、経営が安定していると、多くの企業はコスト削減という自助努力を怠りがちになります。長期的に高いシェアを持続していれば、社内にはいつしか「この状態がいつまでも続く」という慢心が生まれ、工場や本社などに「投資対効果」に見合わないお金が注ぎ込まれてしまうのです。

では、「高コスト体質」に陥らないためにはどうしたらよいでしょうか。

それはひとえに、長期的に高いシェアを確保する商品を持っていたとしても、そこに安住しないことに尽きます。固定費の中には、事業の利益に直結しないものが多くあります。それを削ぎ落とすという基本動作を、愚直に繰り返すことが欠かせないのです。