「ヘビが出るような湿気の多い場所に育つからヘビイチゴなんだ!」という理由がセットになっていれば名前を覚えやすいですし、さらにこれが子どもの習慣になれば、普段からものを考えるようになります。
親御さんが質問していないときにも、子どもが花を見て「ヘビイチゴと同じように、この花の名前にも意味があるのかもしれない」と頭を使って考える習慣がつけば「しめたもの」です。そうやって、日常生活のレベルからものを考えることで、本当に頭が良くなるのです(参考:東大生が断言「頭が良い人、悪い人」決定的な差)。
東大生の親御さんが「質問」をするのは、ものを教えるタイミングだけではありません。子どもの普段の行動について話をするときも、質問を主体にして会話をしていることが多いそうです。
例えば子どもが勉強していないとき、普通は「勉強しなさい!」と怒る親御さんが多いですよね。「つべこべ言わずに、勉強しなさい!」と叱ってしまうことって多いと思います。しかしそれだと、子どもは「なんだよ!」と反抗して、どんどん勉強しなくなってしまいます。
東大生の親御さんは「どうして勉強しないの?」と問います。勉強することを押しつけるのではなく、ただ勉強をしない理由を質問するのです。
大抵の場合、勉強をしたくないことに理由なんてありません。ただなんとなく「勉強したくないな」と思って遊んでいる場合が多いです。しかし質問されて、勉強について考えていると、「あれ、聞かれて初めて気づいたけど、あの宿題やってないな」「そういえば、あの勉強やろうと思ってた」と、自然とやる気が起きるかもしれません。
もし子どもが「こういう理由で勉強しないんだ」と反論したとしても、その理由が急ごしらえのものであれば、親御さんはもっと質問していくことでその理由を崩すことができます。「でもそれってこうじゃないの?」と、質問を繰り返していくことで、「まあ、たしかに親のいうことも一理あるな……」と考えるようになります。
このように、質問によって自分で考え、自分で答えに気づくように誘導してあげる。これが、東大生の親御さんがよく使っていたテクニックなのです。
勉強だけでなく、将来の選択も同じです。
例えば子どものときって、親御さんの目から見て拙い将来設計をしてしまうことってありますよね。調べもせずに、「Youtuberで食べていくから勉強なんてしなくていいんだ!」「自分はゲームが好きだからプロゲーマーになるんだ!」と言ってしまうお子さんって多いと思います。僕も似たようなことを言って親を困らせていた経験があるので、とてもよくわかります。
こういうとき、「馬鹿なこと言ってんじゃない!」と怒ることは簡単ですが、東大生の親御さんはそうではなく、これに対しても「質問」をします。
「どうしてそう思ったの?」「こういうことって調べたの?」と聞いていくのです。そうすると、自然と「そういえばこういうことを調べてなかったな」とか「ああ、なんだか考えなしに、なんとなく言ってしまっていたかもしれない」と自分で気づくことができる場合が多いのです。
東大生の中には、「親を説得できるくらいまで理由をしっかり考えて行動するように決めていたら、いろんなことがうまく選択できるようになった」と語る人もいました。
勉強の答えも花の名前も、勉強に向かう姿勢も将来の選択も、「親が答えを教えてあげる」だけでは、子ども自身ではなく親が主体になってしまいます。こうなると、自分から進んで勉強しようとか、自分で花の名前を調べてみようとか、そんなふうにはいつまで経っても思わないですよね。
そうではなく、きちんと子ども自身が、自分で考えて、自分で勉強して、自分で決めて行動できるように導いていかなければならないのです。その「誘導」の手段こそが、質問なのです。