在宅勤務で潰れる人と躍進する人の決定的な差

自分と向き合い、自分の頭の中に浮かんできたイメージを広げ、それをアウトプットする。在宅勤務は、座禅なのです。そのワークスタイルを先取りしているGoogleなどの先進企業がマインドフルネスに着目するのも、当然なのです。(171ページより)

瞑想ワークスタイルを取り入れれば、心が落ち着き、頭の中で広がるイメージがどんどん実現するという。そして、それをいち早く実現できるのが在宅勤務だ。そういう意味では、在宅勤務は従来のオフィスワークでは考えられなかった創造性の最先端スタイルだとすら言えるのかもしれない。

10分休憩を小まめに取る

たとえばZoomを利用した打ち合わせを連続して入れていたりすると、トイレに行く時間もないほど仕事が続いていくことになる。1人の作業であれば状況に応じて休憩を取ることもできるが、オンラインであったとしても、打ち合わせをしている場合はそうもいかない。

ただ流されているだけだと休憩もなくなってしまうので、できる限り5分から10分の休憩を小まめに取る必要があるのだ。

こうした短い休憩をスケジュールに組み込むことはなかなか面倒です。なので、それぞれの予定の前後の空き時間を意識的に作るようにします。たとえば打ち合わせのとき、30分の予定をまるまる使うのではなく、25分くらいで切り上げて休憩を取るようにするわけです。(183ページより)

確かに普段のオフィスでは、意識せずとも休憩を取っているもの。会議室への移動のタイミングや、トイレに行くついでなど、目に見えない休憩時間もある。ところが在宅勤務だと部屋に閉じこもりきりになってしまうため、そういったすき間時間を活用しようという発想に至らなかったりもする。

だが、それはやはり必要なことなのだ。

スランプは誰にでもあるものだが、スランプに陥ったとき、仕事がひとつだけだとよくないのだそうだ。なぜなら直面したスランプと真正面から向き合わなくてはならず、どんどん気分が落ち込んでいくことになるからだ。

だが当然ながら、落ち込めば落ち込むほど成果は出なくなる。いわば悪循環だ。悪循環にはその言葉どおり「循環」が組み込まれているため、負のスパイラルが絶えず回っている。したがって、そんな負のスパイラルをどこかで断ち切らなくてはならない。

そこで小山氏が勧めているのが、複数の仕事を行う「兼業ワークスタイル」だ。さまざまな仕事を同時進行で行っていると、スランプを乗り越えやすくなるというのである。

ひとつの仕事においてスランプ状態にあったとしても、ほかの仕事を進めることによってスランプをやり過ごすことができるという発想だ。

経営者としてさまざまな仕事に携わり、また名古屋商科大学大学院准教授としても活用する小山氏にとっても、これは重要な手段であるようだ。

私の場合、博士論文の執筆の負担が重く、常にスランプと言ってもいい状態で、ずっと頭を悩ませています。しかし同じ執筆であっても、この本のようなライフハック系の内容であれば、すらすら書くことができます。仕事の企画書も手慣れたものです。博士論文に行き詰まったときには、ライフハック系の文章や仕事の企画書を書くことで、ペースを取り戻すことができます。(187ページより)

小山氏はこうした方法を、「現実逃避力」でもあると記している。Aという仕事でつまずいていると、Bというほかの仕事をやりたくなる。もともとBに対して積極的ではなかったはずなのに、Aというさらに大きな障害にぶつかったことにより、Bという仕事が現実逃避策として機能するということだ。

複数の仕事を進めていると、こうした「現実逃避の結果としてのプロジェクトの進行」という場面に何度も出くわすそうだ。つまり、いい意味での現実逃避力を発揮するためにも、複数のプロジェクトを同時進行させることは無駄ではないのである。