コロナショックは第二波が到来し、収束の目処が立っていないが、新卒の採用活動が再開している。それに合わせて、一度は凍結していた中途採用も復活の兆しが見えてきた印象だ。日々、就活や転職の採用支援を行っていると必ずぶつかる壁がある。それは「適職」だ。適職の定義にはいろいろあるが、ここでは次のように定義したい。
適職とは、「自分自身の納得度が高い仕事、働き方」を指す。
就活や転職活動をしている人のほとんどが、この適職を求めて活動しているが、なかなか手に入れることができない。特に新卒の就活では、何十社もの企業の選考を受け、情報を収集し、あれだけ見比べていても入社すると、だいたいがミスマッチを感じてしまう。これは一体なぜなのだろうか? 本稿では、このような「適職を探してもなかなか見つからない問題」に対して、その原因や対処法を解説していきたい。
そもそも適職かどうかを判断する条件にはどのようなものがあるのだろうか? ここでお勧めしたいのは、サイエンスライター鈴木祐氏の『科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方』(クロスメディア・パブリッシング)という書籍だ。
この書籍では、「適職」という抽象的な概念を、データを根拠とした学術的な知見で解説しており、「仕事の幸福度を高める7つの徳目」として、自由、達成、焦点、明確、多様、仲間、貢献という適職を叶えるための7つの条件が紹介されている。
確かにこの条件をそのまま当てはめてもいいのだが、採用現場に携わっている立場からすれば、違う切り口もあると感じている。約1500人のキャリア支援を行ってきた現場での経験を元に、適職かどうかを判断する条件は、次の8つだと考えている。
これらの評価項目ごとにスコアをつけることで適職度合いを評価する手法がある。『科学的な適職』でも紹介されているように、項目ごとにウェイト(テストの配点みたいなもの)を決め、スコアにそのウェートを掛け合わせて合計点を出すと評価の精度はさらに上がる。この適職スコアを、今受けている求人ごとに算出して比較すれば、どの求人が自分の適職に近いか、分析することもできる。
例えば、次のように評価項目ごとに自分がどの程度重視しているのかウェート付けしてみる。そして項目ごとにスコアを付けていき、最後にスコアにウェートを掛け合わせる。その合計スコアが高ければ高いほど自分にとって「適職度」が高い求人・会社ということになる。なおウェート付けは1~5の5段階、スコアも1~5の5段階で設定する。
しかし、ここで一つ落とし穴がある。適職は「見つけて終わりじゃない」ということだ。
確かに見つけることも大事だが、一度理想の仕事や働き方を見つけても、それが常に自分にとっての適職であり続けるわけではない。というのも、実際に仕事を始めてみたら入社前に採点したスコアとのズレが生じてしまうことがある。さらに、自分自身の強みや弱み、仕事や働き方に求める条件は、年齢やライフステージによって変わってしまう。