ケイ:次はもうひとつの「②金融資産」だ。これは、社会をより豊かにするために「お金の社会参加」を行うという考えが重要になってくる。
ケイ:これは、自分だけが儲かるためのギャンブルまがいの投資の思考とは真逆なんだ。ギャンブルの儲けは他人の損を受けとる仕組みだから、お金が右から左に動いているだけで、世の中全体を豊かにすることはない。また、自分のお金をタンスに鍵をかけてしまい込み、正しい社会参加をさせないのも問題だ。そして、すでに先進国になった社会では、預貯金というお金の社会参加が社会を豊かにする効果も少ない。日本の超低金利がそれをよく反映しているようにね。
姫野:金融資産の利回りって、その投資を通じて社会が豊かになった一部を、後から返してもらうことですもんね。「お金がお金を生み出す」なんてよく言われるけど、それは間違いで、本来は「社会の豊かさが増えた分を受け取る」。そうですよね?
ケイ:そのとおり! それが日本人の多くが投資について勘違いしているところなんだ。ギャンブルと投資の混同、そして今の社会をより豊かにするお金の社会参加の理解だね。例えば「株式投資」は、新しく事業を始めたい人を応援する、政治家のような社会権力をもっている上場企業の社長さんをみんなでモニタリングする、という役目を果たしている。
姫野:株式投資って、大企業の社長をみんなで監視する場でもあるわけですね。その感覚、いままでなかったなあー。
ケイ:株式投資は経済における選挙の仕組みで、社会が豊かになるには不可欠なものだ。「株式の売買」と「年に1回の経営者の選任や給料の決定(株主総会)」という2つの投票で、実際に経済の選挙が行われている。国民が政治の選挙に行かない社会が豊かになるのは難しいように、国民が株式投資に疎い社会が豊かになるのも難しいんだ。仕組み的にね。
姫野:つまり、社会を豊かにするために株式投資をしたほうがいい、ってことですか?
ケイ:そうだね。とくに先進国において社会をさらに豊かにするには、個人が幅広く株式投資(投資信託を含む)を行うことがめちゃくちゃ大事なんだよ。
姫野:えーと。わが国日本を豊かにしたい場合、やっぱり日本企業に投資したほうがいいんですか?
ケイ:よい質問。実は、それは正しいようで違うんだ。今の日本人の金融投資において大事なことは、日本だけでなく、世界全体に目を向けることなんだ。
姫野:え? それはどうしてでしたっけ?
ケイ:簡単にいえば、次のようなことが理由になる。
ケイ:それで上記の3番目が背景となり、特に日本の大企業への株式投資では経済の権力者の「モニタリング」という本来あるべき株式投資の機能が十分に働いていない。「株主と企業を動かす経営者が同じ船に乗って共に社会を豊かにしていく」という点では、致命的な欠点があるんだ。もちろん素晴らしい日本企業はたくさんあるけど、平成時代に引き続きこれからしばらくは、個人と日本を豊かにする投資先として日本企業全体の魅力度は高くないだろう。
姫野:なるほど。それに私たちは日本人で「①人的資産」は日本資産だから、本当の自分の資産のバランスをとるためにも、海外に目を向けたほうがいいですしね。
ケイ:そうなんだ。いまは優良な投資信託を通じて、世界中に簡単に投資ができる時代だからね。
姫野:なるほど。人生における正しいお金との付き合い方、あらためて理解しました!
姫野:これで、自分と社会の両方を豊かにしていくことできそうですね。しかも世界を豊かにして、日本自体も豊かになる!
ケイ:うん。自然とお金が貯まっていく人の思考とは、長期で見た「投資→成長→豊かさ」を、「自分」と「お金」の両面で意識して、日本だけの視点にとどまらず広い視野で行動できているかどうかなんだよ。
姫野:わかりました! 早速、自分と社会の明るい未来を目指して、明日の休日はバーゲンに行ってきます! ちゃんとマスクをつけて、獲物をゲットしたらすぐに帰ります! いまからワクワク!
ケイ:姫野さんにとっては、それも大事なことだよね……(笑)。明後日からは仕事や勉強も頑張ってください!