お金が「貯まる人」「貯まらない人」の決定的な差

①その人自身が資産であるという「人的資産」
②お金の資産である「金融資産」(持ち家なども含めて考える)

ケイ:この2つをしっかり理解すると、人生でお金に悩んだり振り回されたりするようなことは減るだろう。大事なのは、人生の主役はあくまで①の自分自身(人的資産)であり、②のお金(金融資産)は脇役という視点だ。

姫野:これは、②にあたる銀行口座にある預金や持ち家という資産だけを考えてお金の投資(金融商品選び)をスタートすると、人生のポートフォリオ(真のバランス)という視点で大きな間違いをしてしまう……というやつですね。

ケイ:そうなんだ。「①人的資産」は、将来の自分が稼ぎうる給料や、国や企業から受け取る年金、失業保険や生活保護なども織り込んだ金額になる。だから若い世代の人的資産は何億円というものすごい額になるし、65歳で引退した人であっても、年金額を考えれば何千万円にもなる。

姫野:この先の平均年収500万円として、民法の計算式なんかを参考にすると……。

姫野:私の「①人的資産」は、将来の給料だけを考えても、ざっくり1億5000万円でしたっけ? ふふふ。私は1億円以上の価値がある女……。やったー! 「②金融資産」はほとんどないですが。

ケイ:ちなみに、もらえる見込みの年金額は、日本年金機構からくる「ねんきん定期便」(ハガキまたは封書)や「ねんきんネット」(ウェブサイト)でわかるので、時間のあるときにのぞいてみてください。新入社員の姫野さんでも、仮に今の収入が続くとして、いくら受け取れるか試算してくれているし、年齢を重ねるほど正確な数字に近づいていくよ。

「人的資産」は「金融資産」より増やしやすい!自分次第!

姫野:おお、そんな便利なサイトもあるんですね。私は、まずは自分の「①人的資産」を高めるために、自己投資をしっかりやります。20代は英語を頑張る!

ケイ:仕事で英語を使いこなせるようになって、給料がこの先10%上がれば、姫野さんの人的資産は1500万円も増えることになる。これが「①人的資産」だ。「②金融資産」をゼロから1500万円貯めるのはとても大変だろうけどね。

姫野:そう考えると、「①人的資産」を意識して、自分を成長させていくほうが、お金の投資で儲けようと思うことよりも断然大事なことなんですね。

ケイ:うん。それに、「①人的資産」への投資は別に勉強だけじゃない。友人と食事に行くのも人間関係への投資、エステやジムに行くのも美や健康への投資だ。コンビニやスーパーでの買い物だって、僕らが見ているのは値段だけじゃないよね。健康にいい食材を選んだり、新しい商品を買ってみたり、「将来のワクワク」に向けて財布を開くことが多いだろう。

姫野:つまり日常の消費も含めて、お金を使うこと自体が「人的資産への投資」になっているわけか……。

ケイ:そうだね。「①人的資産」を意識しながら、長期でそれを大きくしていこうという行動を積み重ねることが、姫野さんの将来を豊かにするための大切な思考なんだ。結果的にそれが、「お金が貯まる」っていうことにつながっていく。

姫野:そうか。無駄遣いかと罪悪感があったお洋服も、ワクワクして、明るい気持ちになれるなら悪くないのかも……。だけどお洋服だけで私の未来が切り開けるわけじゃないですし(笑)、勉強とかの自分への投資も頑張ります! 人的資産アップのために!

ケイ:そして社会の豊かさとは、1人ひとりの「①人的資産」の総合計とも言える。だから姫野さんの「①人的資産」を大きくしていこうという視点は、社会にとってもすばらしいことなんだよ。英語の勉強、頑張って!

(図:『世界を見てきた投資のプロが新入社員にこっそり教えている 驚くほどシンプルで一生使える投資の極意』より)