「また不在や再配達が増えてくる……」
という言葉をポロッと漏らしたドライバーもいた。
だが、以前のような日常には戻らないというドライバーもいる。第2波、第3波がいずれ来るとささやかれているからだ。
この新型コロナ禍により、直接顔が見えない配達が続いた。相手の温度や空気を読み取るような、第六感を刺激するものが省かれたのだ。世間で浸透しつつある、オンラインによる会話や会議をするように、対面ではなくネットで指定や指示をするリモート的な配達が定着するかもしれない。
東日本大震災では、支援する側とされる側だったものが明確であったが、今回は違った。みんなが支援を求める構図になっていた。
多くのドライバーが感じたことがある。
東日本大震災のときのような「頑張ろう!」という活気はなく、感染を恐れているせいか息を潜める雰囲気が漂っている、と。
「私自身がマスクして走って酸欠気味なこともあり、脳に酸素がいっていない分、そういう考えになっているかもしれませんがね」と言って苦笑いで答えてくれたドライバーもいた。
宅配ドライバーは、この新型コロナ禍の配達をきっかけに、コミュニケーションという『間』が省かれ、ただの配達マシーンになってしまい、街の見守り隊のような存在ではなくなってしまうかもしれない。