大事なのは効率性よりも継続のしやすさで、多少のんびりとしたペースであっても、まずは成長が実感できる段階に到達することを優先すべきなのです。継続するための工夫としては、「自分にとって心理的なハードルの低い、できるだけ簡単なことから始める」「ある程度の効率的なやり方が見つかったら、妥協して見切り発車する」といったものがあります。
人より遅れて何かを始めようとする人は、「もっと効率的にやらなきゃいけない」と焦りがちですが、まずはその考えを改めてください。
3つ目は「最初からいい結果を出したい」です。それだと行動するためのハードルが一気に上がってしまい、行動を起こせません。「最初からいい結果を出したい」という人に対して、私は、「まず失敗を目指してください」と言っています。
以前、私は「インターネットのオークションサイトで商品を売って稼ぎたい」という人の相談に乗ったことがあります。その人は、ネットで稼ぎたいという気持ちがありましたが、実際、ネットで商品を販売しようとすると、めんどくさいと感じて行動に移せませんでした。こうした人は、次のようなことを考えます。
やるなら、絶対売りたい。売るためには、コピーライティング、文章が大事だ。コピーライティングを学ぼう。そして、次に写真。写真を撮るには今の家は散らかりすぎている。まずはそこを片付けるところから始めよう。それから照明。照明器具とか専門器具が必要なんじゃないの? 普通に撮ったら売れないんじゃないの? それでインターネットで照明器具を探し始めます。
そんなことをやっていたら、いつの間にか「あんまりやる気が湧かないな。もう疲れたから、明日でいいや」と考えるようになって、結局、行動しなくなるのです。ネットオークションに限らず、皆さんもこのような経験はありませんか?
結局、何事も初めてやるときというのは、いちばん大きなエネルギーが必要なのです。始めるだけでも大変なのに、最初からいい結果まで求めていたら、めんどくさくなって当然なのです。
私は、その相談者に、わざと失敗してもらうように、オークションサイトに登録して出品してもらいました。「説明文も『これはバッグです』と一言だけ書けばいいのです。写真も掲載しません。とにかく、誰からも絶対に購入されないように出品してください」とお伝えしました。すると、その人は心が軽くなり、あっという間に出品することができました。
もちろん、商品は売れませんでしたが、その後少しずつ改良を重ね、今では、ネットでバリバリ稼ぐようになっています。誰でも最初の一歩がいちばん大変ですからね。そこさえ乗り切れば、あとはなんとかなるものです。
最初は、質よりもスピードを重視することが大切です。やっていくうちに、質は自然と上がっていきます。
めんどくさいを引き起こす5つの考えの4つ目は、「選択肢は多いほうがいい」です。では、選択肢が多いことの何がいけないのでしょうか?
一般的には、選択肢が多いほうが成功するチャンスが広がると思われがちです。しかし、人は、選択肢が多いと行動しづらくなるのです。買い物で、数種類のラインナップの商品と、数十種類のラインナップの商品とを比較した場合、種類が少ない商品のほうがはるかに売れやすいという研究結果もあります。