例えば道を歩いていて、前方から向かってくる自転車と衝突しそうになったら、「危ない」とか「ヤバい」ととらえます。この場合「ヤバい」を構造的にとらえると「自転車と衝突しそうになっている状態」になります。もっと具体的にいえば「前方から自転車が自分に向かってきていて、あと4mほどで衝突してしまう」などと表現することもできるでしょう。
すると「ヤバい」のなかに隠されていた要素と要素の関係がわかり、意味がはっきりします。こうなれば対策を考えることもできるはずです。ビジネス上の問題に置き換えても同じことがいえます。例えば「売上が悪くてヤバい」という問題も、「商品Aが100の仕入れに対して20しか売れていない」と構造的に分解すると、意味がわかります。そして「仕入れを減らしたほうがいい」といった対策を考えることができます。
日本語の「わかる」と「わける」は、同じ語源を持つとされています。つまり、物事を分離させるということは、本来、理解することと同じだということです。逆に物事がいっしょくたになって入り組んでいる状態は、カオス、要するに混沌として理解しがたい状態ということになります。
わける考え方は、人とコミュニケーションを円滑にとるときにも非常に役に立ちます。相手の話を「3つのボックス」にわけると、面白いことに、話の抜け漏れや、前後のつながりのおかしさなど、さまざまな粗が見えるようになります。例えば、営業の報告会のような場でやってみると、違和感が際立ちます。
現状や理想を説明するときのこういったフレーズは、情報としてほとんど意味を持ちません。「ヤバい」と言っているのとさほど違いはなく、現在地も目的地もわからないので地図になっていません。
こうしたフレーズが出てきたら、要チェックです。「具体的に現状がどう危機的なのか」「1億円を挽回している状態とはどのような状況なのか」と質問し、要素を分解して「構造化」しましょう。
「どうしよう?」と聞いてしまうと、アイデアの乱れ打ちになります。
こういうケースでは、アイデアが行き詰まってきたタイミングを見計らって、問題の背景を明らかにします。
「そもそも、どんな状況を実現するといいんだろう?」「それはなぜかというと、どういう現状だから?」
そこを吟味したうえで、あらためて「適したアクションはどれだろう?」と話を進めていくと、絞り込みやすくなります。
これらはアクションを示すフレーズですが、やはり悲しいほどスカスカです。これでは誰が何をするのかまったくわかりません。具体的にはどういう状態が理想なのか、それを実現する取り組みは何か、キラークエスチョンを投げ込んでみましょう。
ここで紹介した要注意フレーズは、指摘されてみると低レベルなように感じますが、実際のビジネスの現場では頻出しています。とくに、いつまでたっても根本的な問題が解決せず、その都度、気合と根性で乗り切っているような組織ほど、要注意フレーズがビュンビュン飛び交っているものです。
■話が進まない!やっかいな人の攻略法4タイプ
一刻も早く問題解決するためには、せめて「3つのボックス」にわけることだけでも徹底することです。