プロ野球を辞めた男たちを待つ「甘くない現実」

「野球しかやってこなかったからと、悲観する必要はまったくありません。目標を達成するために日々のプロセスを組み立てること、やり抜く力などは、必ず社会に出て使うことができます。だから、自信を持って次の世界に進んでいってほしい」

元選手が持つべき大切なマインド

そのために大切なことは2つあると、森氏は続ける。

「まずは、競技に対する未練を完全に断ち切ることです。だからこそ、現役のうちに”やり切った”と言えるくらいやってほしいのです。そして、やりたいことを見つけることです。ただ、これに関しては私も苦労しました。だからこそ、やりたいことを見つけるためにワンステップ置く必要があるかもしれません。そのワンステップは、事務局が作っていかなければならない課題と言ってもいいかもしれませんね」

引退後の生活に対する不安をなくすため、事務局のサポートは日々構築されつつある。それでも、選手にとって不安の種は尽きない。その原因の1つは、圧倒的な情報の少なさである。

第2回では、プロ野球選手を引退後に公認会計士となった元阪神タイガースの奥村武博氏のストーリーから、この問題とどう向き合ったのかを読み解いていこう。

※情報はすべて、一般社団法人日本野球機構発行の『NEW BALL』参照。『NEW BALL』は、プロ野球選手・OBのためのキャリアサポートマガジン。毎年1回発行。今回の情報は、2019年11月発行のものより。