今どき新入社員活かす上司と活かせない人の差

ついにビジネスの世界にも「Z世代」が登場しはじめました。価値観や行動はもはや宇宙人?(写真:xiangtao/PIXTA)

今年も多くの若者が社会人1年生として世に出ていく時期がやってきた。しかし、昨今の新型コロナウイルスの問題で、研修など対面での受け入れが難しくなり、リモートでの受け入れについて悩む企業からの相談も増えている。同時に、聞こえてくるのが、彼らを育成する人事や配属先の上司・先輩たちの“悩み”だ。

Z世代の価値観や行動はもはや宇宙人

数年前の新入社員であれば、“ゆとり世代・さとり世代”と呼ばれ、(上の世代の常識に当てはめると)非常識な若者というニュアンスで語られることが多かったように思う。

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しかし、近年は少し異なる様相になってきた。ゆとり・さとりの次の世代、「Z世代」(後述するが、一般的に1990年代中盤以降生まれ)がいよいよビジネスの世界に登場しはじめたのだ。ゆとり世代ですら非常識と感じていた人たちからすれば、Z世代の価値観や行動はもはや宇宙人のように感じられるかもしれない。

大手各社からスタートアップまで、組織・人事コンサルティングや採用支援を手掛ける弊社エッグフォワードでも、クライアント企業から、若手の人材育成やマネジメントに関する相談は増えている。しかし、Z世代の特徴や強みに注目してみると、むしろ企業課題解決のキーパーソンになれるポテンシャルを感じることも多い。

そこで今回は、今どきの新入社員の特徴を紐解きながら、彼らの強みを活かすマネジメント術を紹介していこう。

はじめに、Z世代とはどんな世代を指すのかを簡単に紹介しておきたい。定義に若干のゆれはあるが、1990年代中盤以降生まれをZ世代と呼ぶ場合が多い。

もともと、アメリカでの世代分類における、1980年代から1990年代に生まれたY世代の以後を指す言葉としてZ世代が使われるようになった。

日本においては、ゆとり世代の名前の由来となった“ゆとり教育”を受けたのが1987年生まれ以降と言われているので、世間で“ゆとり”と注目されていた時代の若者は、実はY世代だ。

デジタルネイティブか否か

では、Y世代とZ世代を分けるものは何だろうか。もっとも象徴的なのは、「デジタルネイティブ」であること。Y世代もITリテラシーは十分に高いが、アナログからデジタルへの移行期を過ごしてきたY世代に比べ、Z世代は物心ついた頃からデジタルだったのが圧倒的な違いだ。

例えば2020年大卒者の大半を占める1997年生まれで考えてみよう。Appleが初代iPhoneを発表した2007年時点で小学4年生。パソコンを飛び越えて先にスマートフォンを所有した人もいるほどで、SNSもYouTubeも日常に当たり前にある環境で育っている。

また、2011年の東日本大震災は中学時代の出来事。その後日本各地で起きる自然災害を目の当たりにして育ってきた。ちなみに、アメリカではZ世代の特徴として、2001年のアメリカ同時多発テロ後の世界で育ってきたことが挙げられる。どちらも大きな出来事を境に社会が一変しており、幼少期~10代で形成された価値観が上の世代とは異なるのだ。

価値観の違いという意味で雇用動向を見てみると、リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発したリーマン・ショックの影響で「派遣切り」が話題になったのが2008年。正規・非正規の格差拡大や“ブラック企業”という言葉が定着した時代に育っている。

また、IT業界を中心に若手起業家が続々と生まれたのも見ており、SNSのインフルエンサーやユーチューバーなど“雇われない生き方”があることも知っている。つまり、そもそも1つの会社で働き続けるつもりがなく、人それぞれいろんな生き方があっていい(よくも悪くも自分次第)と考えている、まさしく多様性時代の若者だと言えるだろう。