10~20代が調べるときに「ググらない」真の理由

Oisix(オイシックス)や生活協同組合(生協)も冷凍食品に力を入れているが、それだけではない。カットされた肉や野菜などの食材をセットにした「ミールキット」の販売にも積極的だ。こうした商品を買えば、食材選びやカットをする時間が省略されるし、余った食材をどう使うかといったこともあまり考えなくていい。

こうした「簡便商品」「時短商品」などと呼ばれる商品が、「レンジで温めるよりも実際に火を通したものを食べたい」「でも料理の時間を短くしたい」「もっと家族との時間を増やしたい」といった人たちの好評を得ているのだ。

今後は、冷凍食品に加えて、こうした簡便商品の需要がさらに伸びることが予想される。すでにアメリカでは、いかに食事の準備や片づけにかかる時間を減らせるか、そして家族に楽しい時間を提供できるかという「時間ソリューション」の競争が始まっている。

世界的な大手食品メーカーは今、デジタル投資を加速させているが、その主な分野はAIの開発である。例えば、消費者のウェブサイトでの行動履歴や食事のパターン傾向などを読み取り、好みの献立・メニューを自動で推薦できることを目指している。

これによって、主婦が頭を悩ませる「献立を考える時間」を削減することができる。共働き世帯、1人暮らし世帯が増えている日本でも、食品メーカー各社が同様の競争を始めることは間違いない。

この「時間ソリューション」は、食だけではなく、衣食住のすべてに波及するだろう。

「時間獲得競争」へ向かう世界の動き

スーパーマーケットも時短の時代だ。今アメリカでは、「カーブサイド・ピックアップ」と呼ばれるサービスが、急速に広がっている。

カーブサイド・ピックアップとは、インターネットで注文した商品を店舗で受け取るというものだ。これまで買い物客がスーパーで買い物をする際には、目当ての商品を見つけるために広い店内を歩き回らなければならなかったが、カーブサイド・ピックアップではその必要はない。商品探しは店舗スタッフが行ってくれる。

具体的には、買い物客は車でスーパーまで行き、ピックアップ専用の駐車場に車を停めて、商品を受け取るだけ。その際に、車から降りる必要もない。店舗スタッフが商品をトランクに積んでくれるからだ。感覚としてはドライブスルーに近いかもしれない。

アメリカの大手スーパーマーケットは、このカーブサイド・ピックアップの導入に積極的だ。小売業最大手のウォルマートは、2019年末時点で、3000店舗以上で食料品のピックアップサービスを展開している。競合のクローガー、ターゲット、ホールフーズも、ピックアップ店舗の拡大を進めており、アメリカの人々にとってはピックアップという買い物文化がとても身近なものになりつつあるのだ。

大規模なスーパーでは、買い物に20分から30分、あるいはそれ以上かかることも珍しくない。店舗が大きいほど店内を回るのに時間がかかるし、レジが混んでいればストレスも高まってしまう。ある調査によると、人々の買い物時間の80%は移動時間であるとも言われている。

一方、カーブサイド・ピックアップなら、前日夜や昼休みにネットで注文を済ませておけば、買い物にかかる時間が丸ごと短縮される。スーパーでの買い物の時間は、夕食前など忙しい時間帯であることが多いので、その時間が短縮され、ストレスも軽減されるメリットは大きいだろう。

ウォルマートは「ほかのスーパーよりも短い時間で買い物ができる」という価値を消費者に提供している。まさにネットを活用し、今まで当たり前だった買い物にかかる時間を短縮した好事例と言える。

世界的コーヒーチェーンといえば、誰もがスターバックスコーヒーを思い浮かべるところだろうが、そのスターバックスを脅かす存在が現れた。コーヒーの消費量が増えている中国では、スターバックスではなく、新興勢力のラッキンコーヒー(luckin coffee=瑞幸珈琲)を選ぶ消費者が増えているのだ。