浮き彫りになった「リモートワーク」の功罪

こうした事態を受けて、国土交通省は公共工事の中断や延期を認めることになったよ。現在進行中の約9000件の工事のうち、200件の工事が一時中止となった。

デスク)民間工事での中止は出ていないの?

D)あるゼネコン幹部は「発症者でも出ない限り民間発注の工事を止めることはできない」と言っていたよ。

ただ、トイレやキッチンといった資材の調達に遅れが生じているようだ。住宅設備大手のTOTOとLIXILは、協力会社からのトイレやキッチンの部品調達が遅れ、納期が見通せていない。TOTOは「いつ納期の遅延が解消するのか、いつよくなるか言えない状況」と説明していたよ。

一部のオフィスや商業施設でも、床材、外壁などに使うタイル、エントランスに張ったり墓石に使う石材で調達遅延が発生している。ある床材大手は「中国で生産している塩ビタイルの一部特殊な形のものの供給が滞っている」と話していた。

戸建て住宅の引き渡しが遅れたり、「一部のフロアでトイレが作れていない。今後、工期に影響が出てくるのではないか」というゼネコンもあった。

デスク)ところで、在宅勤務になった社員は順調に仕事をこなせているの?

B)ある商社の社員はこんな愚痴をこぼしていたよ。これまでなら隣の人にちょっと聞いたり、別フロアの人でも小走りで行けばすぐに確認できたりしたような内容でも、いちいちメールでやりとりしなければならなくなった。その処理が大変だって。

また、テレビ会議が増えたが、自分が話を切り出すタイミングをつかめないなど、やりづらさもあるようだ。リモートワークが注目されているけど、実際には功罪があるようだね。

原油価格下落で業績下押しも

デスク)サプライチェーンの関係で影響は出ているかな。

A)後発品の原薬(医薬品として製剤化される前の有効成分)は中国から調達されているものが多い。日医工、東和薬品、沢井製薬といった後発品大手はいずれも、今のところ原薬調達に支障はないようだ。

半年程度の製品在庫があり、すぐ供給不足に陥るということはないが、中国での感染がさらに拡大して原薬生産に支障が出れば、今年の秋ぐらいから影響が出てくるかもしれないね。

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デスク)コロナの陰で、原油価格が大きく下げたニュースもあったね。

B)原油価格が急落した。ただこれは新型コロナの影響だけでなく、OPECプラスの協調減産をめぐって、協議不調に終わるなど、複合的要因が背景にあるよ。

JXTGホールディングスや出光興産、コスモエネルギーホールディングスは想定以上に在庫評価損が発生し、2020年3月期の業績を押し下げそうだ。

例えばJXTGホールディングスでは、2020年3月期の営業利益が1020億円程度下押しされそう。原油価格が1バレル5ドル下がると1~3月期の営業利益が340億円減ってしまう。計算上は1000億円超の減益要因になりそうだね。