ではなく、
「疲れを感じたら切り上げ、眠る。起きてから続きを読み始める」となります。
インターリービング睡眠に必要な睡眠時間ですが、リヨン大学の実験では90分の睡眠が推奨されていました。しかし、何かと気忙しい私たちの生活を考えると、なかなか難しい条件です。
無理なく日常生活に取り入れるなら、夜、眠る前の時間帯に本の中のキーポイントを読む、あるいは要約したノートを見返すなどした後、ベッドへ。翌朝、少し早めに起きて続きを行うというサイクルにすると、うまくインターリービング睡眠を活用できるのではないでしょうか。
新たなジャンルの読書を始めるときは、入門書を先に読んでからインターリービング睡眠を取り、翌日、難易度の高い本に向き合うとスムーズに理解できるようになります。
「インターリービング睡眠」が効果的なのはわかったけれど、日中に仮眠を取る時間がない。仕事や子育て、介護など、生活サイクルの問題で夜、寝る前の時間を読書に当てることができない。
そんな人のためにもう1つ、記憶を定着しやすくし、想起能力を高める脳の休め方を紹介します。その手法が「ウェイクフルレスト」です。読書や勉強の合間に4分から6分ほど目を閉じて、ボーッと何も考えない時間を作るという方法です。
何時間もぶっ続けで読書や勉強をするのはすごいことのように思えますが、それは根性で何もかも達成できるという間違った考え方。「インターリービング睡眠」で述べたように、脳には休息が不可欠です。読書や勉強の間に「何もしない時間」を用意しなければ、記憶の定着は図れません。
2012年にスコットランドのエジンバラ大学が行った実験では、ウェイクフルレストを実践したグループの記憶の定着率のほうが10%高いことがわかりました。しかも、その傾向は1週間後の追試でも確認されたのです。
研究者は「学習後の最初の数分に何をするかで、新たな情報が定着するかどうかが決まる」と指摘。実験でゲームをしたように、本を読んだ後、すぐにテレビを見る、仕事をするなど、別の作業を行うと、記憶の定着を妨げることになります。
逆に一定時間、情報のインプットを遮断すると、脳への記憶の定着が促進されるのです。
インターリービング睡眠にしろ、ウェイクフルレストにしろ、脳を休める時間を取らない人は懸命に努力しているようで、実は読書でも、勉強でも、仕事でも成果が出にくいルートに入ってしまいます。
受験の世界では「四当五落」と、睡眠時間を削って勉強した人が合格すると言われてきましたが、確実に逆効果です。
難易度の高い本を読むときほど、ウェイクフルレストを意識しましょう。休憩を取ることで、読んだ本を使いこなせるようになるのです。
認知機能に関する複数の研究でも、目を閉じ、安静にしているだけで脳の認知機能が向上、集中力も回復することがわかっています。
私も読書の合間にノイズキャンセリング機能のあるヘッドフォンを付け、6分間目を閉じ、瞑想。日々、ウェイクフルレストを実践しています。皆さんも、ぜひ「ミニテスト」「分散学習」「インターリービング睡眠」「ウェイクフルレスト」の4つの記憶術を取り入れてみてください。