どう組み合わせても、ピック・スリーなら、短期的な選択と長期的なバランスの両方で最高の結果を得られる。
と、ここでこんな声が聞こえる。「ランディ、私は5つ選べますよ! 友人と一緒に運動して、通勤中に母に電話すればいいんでしょ。これで運動、友人、家族を選べるから、残りは2つ!」
確かに、ときどきなら選べるだろう。1日か2日、ぜんぶできる日があってもおかしくない。ただし長く続けられるかどうかは別の話だ。
5つをうまくやろうとしたら、行き着く先は、完全な「燃え尽き症候群」だ。すべてを高いレベルでなし遂げるのは並大抵のことではない。仕事、睡眠、家族、運動、友人を、毎日ちょっとかすめる程度ならできなくはない。でも、5つのカテゴリーをぜんぶ、しかもたった1日でやろうとしても、本当に深いレベルでは何も達成できないだろう。
「アンバランス」はよくない言葉だと、私たちは教えられてきた。けれど私は、それこそが成功と幸福につながるキーワードだと思う。ピック・スリーを生活に取り入れて、うまくアンバランスになれば、人生が安定するし、精神的にも楽になれる。
それに、毎日選んだ3つのことだけに集中していると、優先順位のつけ方が上手になるので、結果としてその3つを高いレベルでこなせるようになる。集中せずに何週間もだらだら続けるより、同じことでもずっと上達する。
そうして毎日違う3つを選んでいれば、やがて──なんと、なんと──「バランス」まで手に入ってしまうのだ!
その日にすると決めた3つをぜんぶクリアしたばかりか、その一つひとつを完璧にできたと知って1日を終えられたら、どんなに気分がいいだろう。
私のピック・スリー日誌から、ある週の例をお見せしよう。カテゴリーの選び方、ピック・スリーの組み立て方の参考になれば幸いだ。
今日はレイバー・デイ(アメリカの祝日)。ということは、私からの返信がなくても、だれも怒らないし、がっかりしないはず。
子どもたちはまだ夏休みで、わが家には夫の両親が滞在中。だから「家族」を選んで、夫や子どもたちと楽しく過ごしたり、親戚を訪ねたりしたい。
「睡眠」を選んだのは、私の優しくて素敵でいつも若々しい義両親が、早起きして子どもたちを見てくれたから(ヤッホー、朝寝坊!)。
それから「運動」を選んだので、あとで(つまり、朝寝坊のあとで)夫と公園をジョギングするつもり。
→結果:ピック・スリーを制覇!
朝イチでテレビのモーニングショーに出演。テーマは、新学期におすすめの新しいアプリやガジェットについて。テレビに出られるのはうれしいけど、そのためには明け方起床がマストなので、「睡眠」はどうしても選べない。
親友のエリカがスタジオに来てくれて、出番が終わったあと、コーヒーを飲みながら雑談。
(ここで「友人」の時間)。それから出社し、山積みの仕事を片づける(ここで2度目の「仕事」)。
息子たちが寝る前になんとか帰宅。この秋、小学生になる6歳の息子の準備を手伝い、仕事から帰ってきた夫と、今日あったことを語り合う。
→結果:ピック・スリーは「仕事」に偏りすぎ!
ニューヨークは今日もいい天気。そこでお気に入りのライフハックに登場願い、息子たちをキックスケーターに乗せて引っ張りながら、いつもより長いジョギング。ときどき現れる坂道には閉口したけれど、おかげで「運動」と「家族」をダブルで達成するおまけを得られた。