全米震撼「恐怖のドッペルゲンガー殺人」の全容

ロシア出身のナディア・フォード(左)と殺害された母のアラ。アラが隣人に殺害された事件を発端に全米が震撼した殺人計画が明らかになった(写真:フジテレビ取材班提供)

「自分とそっくりの姿をした分身=ドッペルゲンガーに出会うと死ぬ」

そんな恐ろしい都市伝説が現実化したような事件が、世界を騒然とさせた。舞台は、2016年のアメリカ・ニューヨーク。謎の美女が自分そっくりの美女を殺して“入れ替わる”……まるで小説のような殺人計画だった。

「私はチーズケーキを食べて、部屋の床に激しく嘔吐し、そして昏睡状態になったのです。救急隊が来たとき『あと40分遅かったら死んでいた』と言われたそうです」

左がオルガで、右が国際指名手配犯のビクトリア。『目撃!超逆転スクープ5 殺人者の微笑み』はフジテレビで2月15日(土)よる9時~放送(写真:フジテレビ取材班提供)

そう語るのは、ウクライナ出身のオルガ・ツウィク。彼女が勤める美容サロンの常連客を自宅に招いたところ、殺されそうになり、一命を取り留めた。

“凶器”は手土産の毒入りチーズケーキ。そして犯人は、オルガのパスポートや免許証を奪い去った……女の狙いは、オルガに“なりすます”こと。過去の犯罪歴を消すためだった。

この悪魔のような計画を実行に移したのは、ロシア出身のビクトリア・ナシロワ。ロシアでの殺人容疑で国際指名手配中の容疑者だった。それだけではない。逃亡先のニューヨークでも数々の犯行を重ね続ける“世紀の悪女”だったのである……。『目撃!超逆転スクープ5 殺人者の微笑み』(フジテレビで2月15日(土)よる9時~放送)取材班は“世紀の悪女”の逃亡劇に迫った。

発端となったロシアの「隣人女性殺害事件」

ロシア出身のナディア・フォードが、憧れの地・ニューヨークに渡ったのは2007年。故郷に1人残してきた母親アラを気遣い、毎日のように国際電話をしていた。

異変が起きたのは、2014年9月。母のアラが暮らすアパートの隣の部屋に、セレブのような美女が引っ越してきて親しくなったという。その美女こそ、ロシアで窃盗や恐喝などの犯罪を重ねる悪女・ビクトリアだった。

人のいいナディアの母親は「ニューヨークに行く」というビクトリアに、娘へのことづけ、現金6100ドル(約66万円)や高価なコートを預けてしまった。もちろん、その金がナディアに届くことはなかった。

そして2014年10月、事態は急変する。ナディアが何度電話しても母親は出ない。ロシアに緊急帰国するが、アパートから母の姿は消えていた……。クローゼットの中には母が残した「DENGI(お金)」というメッセージ。その言葉どおり、母が部屋に隠していた現金5万ドル(約540万円)が消えていた。

ナディアは失踪した母を見つけるため、手作りのチラシを配って情報を集め、広大なロシアを自ら運転する車で奔走した。だが3カ月が経っても成果はゼロ。そこで探偵を雇い、道路上の防犯カメラを片っ端から調べると、ついに、1台の車の助手席に寝かされた母親の画像を発見。そのレンタカーの借り主は、あのビクトリアだった。

ナディアの母親の殺害容疑でビクトリアの取り調べが始まる。ようやくすべての悪事が暴かれるかと思われたが、ビクトリアは、その美貌を武器に、捜査官を誘惑し、偽造パスポートでロシア国外へ逃亡してしまった。

そして、ナディアの母は焼死体で発見されてしまう……。そこは、自宅から遠く離れた、悪女・ビクトリアの故郷だった。インターポール(国際刑事警察機構)は、殺人容疑でビクトリアを国際指名手配したが、もはや彼女の行方は誰にもわからなかった。

フェイスブックで発覚した、悪女・ビクトリアの潜伏先